神戸市の全処理場がバイオガスを活用、下水汚泥が再生可能エネルギーに:自然エネルギー
神戸市は、市内の下水処理場で発生する汚泥を活用したバイオガス発電事業を推進している。このほど神鋼環境ソリューションなどと、新たに「玉津処理場」における消化ガス発電事業の実施について基本協定を締結。これにより、市内で汚泥処理を行っている全処理場で、バイオガスを活用する体制が整う。
水処理関連事業などを展開する神鋼環境ソリューション(SKS、神戸市)は、大阪ガスの100%子会社であるOGCTS(大阪市)とグループを構成し、神戸市と「神戸市玉津処理場消化ガス発電事業」に関する基本協定を締結したと発表した。
同グループは、下水処理の過程で発生する消化ガスを高度精製した「こうべバイオガス」を神戸市から買い取り、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」の適用を受けたガス発電事業を行う。
玉津処理場での事業は民設民営方式で行うもので、神戸市西区の玉津処理場内に発電設備一式を構える。発電容量は450kW(消化ガスエンジン25kW×18台)、年間発電は最大で310万kWhを見込む。一般家庭約900世帯の年間使用電力量に相当する発電量だ。発電事業期間は2018年4月1日〜2038年3月31日の20年間を計画している。
発電した電力の売電価格は1kWh(キロワット時)当たり税別39円で、年間1億2000万円以上の売電収益が見込める。SKSはこの中からこうべバイオガスの購入費用と、土地などの賃貸料を支払う。
神戸市は、既に市内にある他の3つの処理施設でも、下水汚泥由来のバイオガスによる発電などを事業化している。今回の玉津処理場での事業により、汚泥処理を行っている市内の全処理場でこうべバイオガスの有効利用する体制が整う。
これら全ての事業に関わっているSKSは、下水及び有機廃水処理装置ビジネスなどに取り組んできた神鋼パンテツクが2003年に神戸製鋼所の環境ビジネス部門と事業統合し、現社名に変更。現在、水処理関連事業、廃棄物処理関連事業、化学・食品機械関連事業などへ事業を拡大している。
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