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Zoomが仕掛ける衝撃の業務改革――「AI×Zoom」で次の世界へ

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 「Zoom Meetings」や「Zoom Phone」などを提供する米国Zoom Communications Inc.の日本法人ZVC JAPANは「Zoom Experience Day Summer 2025」を2025年7月17日に開催した。「次の世界へ。新しいカタチでつながる市民、顧客、従業員」をテーマに、エージェント型AIを使った新しい働き方のビジョンを示した。

 登壇したZVC JAPANの深海健一氏とZoom Communicationsのイーストン・テイラー氏は、Zoom Meetingsがビデオ会議ツールを超えて、エージェント型AIを搭載した統合コミュニケーションプラットフォームへと進化していることを紹介した。

 イベントのアーカイブ配信はこちらから。

 イベントの冒頭で深海氏は、現在のAI市場における日本の現状を示すデータを紹介した。総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、2024年の調査で生成AIサービス利用経験について「使っている(過去使ったことがある)」と答えた人は26.7%だった。2023年の9.1%からは上昇したものの、依然として7割以上の人が未利用の状況が続いている。


ZVC JAPAN 深海健一氏(Global Architects Technical Sales Architect)(提供:ZVC JAPAN)

 この背景には「効果的な活用方法が分からない」(30.1%)、「初期コストがかかる」(22.1%)、「社内情報の漏えいなどのセキュリティリスクがある」(27.6%)といった懸念事項がある。こうした課題を踏まえて、深海氏はZoomのAI Companionは追加コストなしで高品質な成果を提供すると語った。

 「Zoomの有料プランに登録しているアカウントであれば『AI Companion』を追加費用なしで利用できます。AIをすぐに利用できる状態でZoomの機能に組み込んでいるため、お客さまが別途契約やセットアップ、チューニングをする必要はありません。セキュリティ面でも、Zoomは弊社またはサードパーティーのAIモデルのトレーニングにお客さまのコンテンツを使用することはありませんので、安心して使っていただけます」

ZoomのAI戦略と製品ロードマップ――自分のアバターを使った動画作成も可能に!

 深海氏は「Zoomはいかにしてお客さまの業務をテクノロジーで支援し、ビジネスの発展に寄与できるか、という観点で製品開発を続けています」と述べ、今回のイベントのテーマである「つながる」というキーワードを軸に同社のAI戦略を説明した。

 同社のAI Companionは3つの段階で進化してきた。第1段階はミーティングの文字起こしと要約機能、第2段階はユーザーのアシスタントとして業務効率化を支援するAI Companion 2.0、そして第3段階が現在注力している「エージェント型AI」だ。

 特に注目すべきは、2025年に入ってからのエージェント型AIの展開だ。深海氏は「従来のアシスタント機能を超えて、ユーザーの意図を推論し、記憶を蓄積し、外部ツールと連携しながら自律的に作業する点がエージェント型AIの特徴です」と説明した。

 今後の製品ロードマップには、複数の革新的機能が予定されている。日本語対応の有料アドオン「カスタムAI Companion」は、カスタム辞書の登録や議事録テンプレートの作成など、企業独自のニーズに合わせたカスタマイズが可能になる。16以上のサードパーティーアプリとの接続も可能で「Microsoft OneDrive」「Microsoft Outlook」「Google Drive」「Gmail」でAI Companionを利用できる他、カスタムアバター機能を使えばテキストを入力するだけでアバターが自然に話す動画クリップを自動生成できる(現時点では英語のみ対応)。


自身の音声や映像を読み込ませて作成したアバターなど使って動画を作成できる(出典:ZVC JAPAN提供資料)

 6月に米国でリリースされた「Zoom Virtual Agent 2.0」は、従来のボイスbotやチャットbotとは一線を画すエージェント型AIを搭載したカスタマーサポートソリューションで、返品処理、アカウント更新、予約管理などの複雑なタスクを人間の介入なしに自律的に完了できる。

 これらのZoomのAIサービスの根本には、3層構造の設計思想がある。最下層には大規模言語モデル、小規模言語モデル、外部モデル、顧客独自モデルを統合したAI基盤を配置。中間層には特定業務に対応するスキル層、最上位層には業務を支援するエージェント層を設けている。この階層構造により、汎用的なAI機能から特化した業務処理まで、シームレスに連携できる仕組みを実現している。

 深海氏は「ZoomのAI機能の優位性は、既存のライセンスに含まれていること、高品質な独自AIと外部AIの最適な組み合わせ、そして企業データを学習に使用しないセキュリティ体制にあります」と強調した。

AI Companionによる会議業務の効率化 会議準備から会議後までサポート

 AI Companionが実現する会議業務の効率化について、深海氏は包括的なソリューションを紹介した。会議の事前準備の際は、これまでの会議内容を分析して次回ミーティングまでの課題の確認や必要な準備項目を提案する。スケジュールの調整やアジェンダ作成の自動化、関係者への事前共有もAIに任せられる。

 会議中には、遅れて参加した参加者に対してそれまでの会議内容をAIがリアルタイムで要約・提示する。議論の経緯や重要なポイントを瞬時に把握でき、議論の質の向上と迅速な意思決定が可能になる。

 会議終了後は、議事録の自動作成と配信に加えて、決定されたアクション項目を担当者、期限、内容とセットでタスク管理ツール「Zoomタスク」に自動転記する。これにより、会議で決まったことを確実に実行する仕組みを構築できる。

 セッションではAI Companionの処理能力を示すデモンストレーションも披露した。深海氏がPDF100ページの英文決算報告書を2年度分比較分析するよう指示すると、AI Companionはわずか21秒で5つの要点と差分を日本語でまとめた。「人間であれば、5〜10日程度かかってもおかしくない作業です」と深海氏は説明し、従来の作業時間を劇的に短縮する効果を実証した。

AIによる生産性向上とコスト削減 成功のためのベストプラクティスとは?

 続いて登壇したテイラー氏は、カスタマーサクセス統括責任者としてAI活用のユースケースを紹介した。まず自身の入社体験を通じてAIの効果を語った。


Zoom Communications イーストン・テイラー氏(Head of Global Customer Success)(提供:ZVC JAPAN)

 「入社最初の週、膨大な情報の中で迅速なオンボーディングが求められる状況で、AI Companionに顧客会議の書き起こしやサポートケース、メール、営業会話などを読み込ませ、市場戦略や顧客課題などについての質問を投げかけました。その結果、通常なら数カ月かかる業務を数週間に短縮できました」

 企業の主要部門における活用例も示した。マーケティング部門は製品リリース情報をAI Companionに入力することで、販促資料やキャンペーン素材を自動生成し、リアルタイムでメッセージングを調整できる。マーケティングイベントの準備の際も、セミナー概要や講演者プロフィール、イベントで使う画像やイベントページの作成などをAI Companionがサポートできる。

 営業部門には、営業向けのツール「Zoom Revenue Accelerator」がおすすめだ。会話のレコーディングや文字起こし、ネクストステップの確認はもちろん、話す速度や発言比率、感情や質問の分析を通じて営業の改善点を提案できる。活動状況の分析も可能で、マネジメント層が最新の状況やリスクを把握するのに役立つ。

 サポート部門に対しては、AIエージェントがナレッジベースやテクニカルドキュメントを参照し、顧客の課題にリアルタイムで解決策を提案する。営業部門と同様に、会話分析を通じて社員の力を引き出せる。「米国のお客さま事例で、AIエージェントのアシストによってサポート部門の平均対応時間を40%削減し、顧客満足度を34%向上させた実績があります」とテイラー氏は説明した。

 テイラー氏はセッションの最後に、企業がAI導入を成功させるためのベストプラクティスを紹介した。「自社のバリューから始める」「AIカウンシルの設置」「変革推進のためのチェンジチャンピオンの任命」「成功の測定」という4段階のステップを踏むことで、確実な効果を実現できる。

 「自社のバリューから始める」とは、企業のビジョンや価値観をAI活用の目標設定の指標にすること。「AIカウンシル」は、多様な部門から構成される横断的な委員会のことで、新しいAIツールの導入が組織のビジョンに沿っているか、プライバシーやセキュリティの要件を満たしているかを監督する役割を担う。


新しいAIツールを導入する際には、組織におけるAIの役割を明確にするなどの事前準備が重要となる(出典:ZVC JAPAN提供資料)

 「チェンジチャンピオン」とは、変革を促進して社員の理解と協力を促すポジションだ。アンバサダーとは異なり、AIを使いこなす影響力のあるメンバーが適しているという。そして、最後に利用状況や社内満足度の把握、生産性向上やビジネスインパクト、投資対効果を測定し、改善につなげることが重要となる。

 個人のタスク処理を自動化するAIエージェントが開く未来の働き方について、テイラー氏は「AIエージェントを使うことで、人間は反復的な作業から解放され、より創造的で戦略的な業務に集中できるようになります。これこそが未来の働き方の核心です」と展望を示した。

AIパートナーとしてのZoomが開く「新時代」

 今回のセミナーで明らかになったのは、Zoomが「ビデオ会議ツール」という従来の枠組みを超え、AIを核とした統合コミュニケーションプラットフォームへと進化していることだ。

 深海氏とテイラー氏が共通して強調したのは、ZoomのAI Companionの、企業成長を支える「AIパートナー」としての役割だ。業務の効率化だけでなく、新しい価値創造やイノベーションの創出まで、包括的にサポートする存在として位置付けられている。業務ツールの乱立に悩む企業にとって、Zoomは見逃せない選択肢となるだろう。

 「Zoom Experience Day Summer 2025」の全セッション内容は、オンデマンド視聴でより詳細に確認できる。本記事で紹介したセッションの他にも、国内外の導入企業としてLIXIL、光通信、キャディによる導入事例やデモンストレーションが多数披露された。イベントのアーカイブ配信はこちらから視聴できる。

 9月18日には、Zoomの最新イノベーションを知る機会として、オンラインイベント「Zoomtopia Japan」を開催する。AIの進歩と共に進化し続けるZoomプラットフォームの最新動向にぜひ注目してほしい。

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提供:ZVC JAPAN 株式会社(Zoom)
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2025年9月12日

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