MSはVistaのマイナスイメージをぬぐい去れるか?(2/2 ページ)
MicrosoftはWindows XPユーザーを集めて行ったある実験の結果を宣伝に使おうとしているが、難しい挑戦になりそうだ。
小さなAppleがWindows Vistaを痛めつけているだって? スティーブ、いいかげんにしろ! Appleの方が魅力的なデジタルライフスタイルを提案しているというだけのことだ。Appleは「なぜMacの方が優れていて、Vistaのどこが駄目か」という二元的な戦略を採っている。わたしがVistaは駄目だと言っているのではなく、Appleのマーケティングがそう示唆しているのだ。だがAppleがしていることは、優れた企業であればどこでもすること、つまり、広告だ。では、Vistaに関する宣伝文句がAppleによるものしかないのはなぜか? それはMicrosoftが沈黙を選んだせいだ。2007年の4月ごろから、Vistaに関しては本格的な広告は一切行われていない。
Microsoftは約15カ月もの間、傍観を決め込み、Windows Vistaに対する不満の声もすべて受け流してきた。Vistaに対して否定的なイメージが広まっているのは、これまでごく一部のMicrosoft信奉者を除いてほかには誰もVistaのハッピーエンドのストーリーを語ってこなかったからだ。Vistaのストーリーは今のところ、主役がつらい結末を迎えるフランス映画のような展開になっている。
Microsoft幹部が選択肢についてざれ言を言い始めたときには、わたしは大いに笑わせてもらった。ユーザーが望んでいるのは、選択肢の多さではない。ユーザーは正しい選択肢を望んでいるのだ。より多くの選択肢を提供するというMicrosoftの考え方は根本的に間違っている。現在多くのユーザーが選んでいるのはVistaでもなければ、Macでもない。多くの一般ユーザーと企業ユーザーが選択しているのはWindows XPなのだ。少なくとも6月30日まではそうだった。
MicrosoftがWindows XPをPC市場からほぼ撤退させた上でVistaの大々的なマーケティングに着手することにしたのは興味深いことだ。XPのダウングレード権を行使する場合を除いて、今やVistaはユーザーにとって唯一のWindowsの選択肢だ。ユーザーはWindows XPを選ぶこともできるが、そのためにはまずピカピカの新しいPCを購入してVistaを入手しなければならない。スティーブ、これのどこが選択肢と言えるのだろう?
Vistaがいかに優れているかを伝えたくて、一部のMicrosoft幹部がWindows XPの存在を煙たがったということなのだろうか? とにかく、Microsoftのマーケティングメッセージは伝わりにくいものとなりそうだ。製品に対するマイナスイメージは、駆逐艦エルドリッジが突如姿を消したように簡単に消し去れるものではない。わたしは心からMicrosoftの幸運を祈る。この先、Microsoftにとっては本当にそれが必要になるだろうから。
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