なぜiPhoneはFlashをサポートしないのか?
Androidについては、Adobeさえ望めばFlashは確実にサポートされるだろう。だがiPhoneについては、もしそうなるとしても、その時期を決めるのはAppleだ。
なぜiPhoneはいまだにAdobe Flashをサポートしないのか? 今日の午後、その答えが突然ひらめいた。
ソフトウェア開発プラットフォームがその理由だ。この考えが正しいなら、米AppleはFlashを急いでサポートしたりはせず、むしろアプリケーション販売サイトApp Storeが十分に定着するまでその時期を引き伸ばすだろう。
AppleがiPhoneを発売して16カ月近くが過ぎた。多くのApple観測筋はFlashがサポートされていない点についてさまざまな意見を述べ、iPhone 2.0ソフトウェアアップデートでFlashのサポートが追加されるものと期待した。だがそれから約4カ月が経ち、AdobeはiPhone向けのFlashを準備したことを認めているにもかかわらず、まだiPhoneでは何らFlashのサポートは提供されていない。もしかするとAppleはiPhone 2.2でFlashのサポートを追加するのかもしれない。だが、わたしはそれほど期待はしていない。
App StoreはiPhoneのキラーアプリケーションだ。そしてApp Storeは、iPhoneをPCに取って代わるモバイルコンピューティングプラットフォームへと変えられる。携帯電話がPCより優位に立つのは時代の避けられない流れであり、いずれはモバイル機器の方がより今日的なコンピューティングプラットフォームとなるはずだ。その変化は既に進行中だ。まだはっきりしていないのは、どのモバイルプラットフォームが主流になるかだ。App Storeを持つiPhoneはその有力な候補者だ。一方、端末市場とOS市場における現在のシェアの大きさを考えれば、Nokiaもその王冠を継承しないわけにはいかない。だが開発プラットフォームの点でNokiaは後れを取っている。Appleと、そして今ではGoogleの方が、新参とはいえ、より優れた戦略を展開している。
だが、もし開発者がより広範に採用されている成熟した開発プラットフォームを選択できるとしたら、まだ発達期にあるApp Storeはどうすれば成功できるだろう? Flashのサポートをめぐっては、「iPhoneのバッテリー稼働時間を削り、充電頻度を高めることになる」との憶測も多く指摘されており、実際、その可能性は高い。だがAppleにとってさらに大きな問題はFlashの開発、つまり開発者がApp Storeを介さずにアプリケーションを開発するようになる可能性だ。なぜなら、AppleはiPhoneをプラットフォームとして扱っており、Flashにデバイスの開発まで左右されるようなシナリオを認めたくないからだ。
そのため、これまでAppleは慎重にFlashを回避してきた。iPhoneにYouTube専用のアプリが搭載されたのは、その格好の例と言えるだろう。Appleが少なくともApp Storeがもっと定着するまでFlashをサポートしたがらない理由としては、以下の点が挙げられる。
- Appleはエンドユーザー体験に対するコントロールを維持したい
- App Storeをアプリケーションの開発と配布のための主要なプラットフォームにしたい
- サードパーティーのアプリケーションプラットフォームと競争したくない
Googleが開発した携帯電話OS「Android」には、こうしたFlashの制限はないはずだ(少なくとも長期的には)。その理由は以下の通り。
- Googleはサードパーティーのアプリケーション開発にオープンソース開発を支持している
- Androidベースの携帯電話はGoogleにとってプラットフォームではなく、同社の検索と情報のプラットフォームへのゲートウェイである
- AdobeはAndroidでのFlashのサポートに取り組んでいる
10月22日に発売される初めてのAndroid搭載端末「T-Mobile G1」はFlashをサポートしない。だがAdobeのモバイル&デバイス担当エバンジェリストのビル・ペリー氏は先月、ブログに次のように書いている。「われわれは目下、Androidをサポートするすべての携帯電話機メーカーと緊密に連携しており、将来的にはAndroid搭載端末はすべてAdobe Flashをサポートする状態で出荷されるようになるものと期待している」
もちろん、AdobeはiPhone Flashも準備した。このサポートは約束はされたが、まだ実現はしていない。AndroidとiPhoneとの違いはオープンソースであるか否かという点にある。Androidについては、Adobeさえ望めばFlashは確実にサポートされるだろう。だがiPhoneについては、もしそうなるとしても、その時期を決めるのはAppleだ。
Macに関しては、AppleはAdobeをパートナーであり競合相手でもあると考えている。だがiPhoneに関しては、Adobeはライバルということらしい。
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