高密度化に向けた焼結助剤を開発:
日本特殊陶業と産業技術総合研究所(産総研)は、新たに開発した焼結助剤と磁石合成プロセスを用い、高性能の「サマリウム−鉄−窒素焼結磁石」を作製する技術を開発した。EV(電気自動車)に搭載される高効率モーター用磁石などに適用していく。
周囲の景観や視界を妨げない:
住友化学の韓国子会社である東友ファインケムは、「ガラスタイプの透明LEDディスプレイ」を実用化し、韓国内で販売を始めた。電気自動車(EV)や商業ビルなどに透明ディスプレイを採用することで、新たなデジタル屋外広告を実現できるという。
パワー半導体デバイス向け基板で:
大阪大学は、DOWAホールディングスや島津製作所と共同で、パワー半導体デバイスに用いられる窒化アルミニウム基板に対し、青色半導体レーザーを用い、銅を直接接合する技術を開発した。接合に用いる材料と製造工数の削減が可能となる。
銀とシリコンの共晶合金を液体急冷:
大阪大学はダイセルとの共同研究で、銀(Ag)とシリコン(Si)の共晶合金を液体急冷すると、非晶質SiやAg過飽和固溶体の準安定相が出現することを発見した。また、液体急冷Ag−Si合金を大気中で加熱すると、Ag過飽和固溶体に含まれるSiが酸化反応を起こし、副産物としてAgが析出されることも明らかにした。
リチウム箔を水滴から守る:
熊本大学は、構造内に「孔」がない酸化グラフェン(Pf-GO)を合成し薄膜化することで、「水素イオンバリア膜」を作製することに成功した。従来の膜に比べ最大10万倍の水素イオンバリア特性を備えているため、リチウム箔を水滴から守ることができるという。
NiSnFe触媒を用い合成条件を最適化:
東北大学の加藤俊顕准教授らによる研究グループは、カーボンナノチューブ(CNT)の原子配列である「カイラリティ」を制御して合成する手法を開発した。新たに開発したNiSnFe(ニッケル、スズ、鉄)触媒を用い、95%以上の超高純度で(6,5)カイラリティCNTのみを選択的に合成することに成功した。
古野電気の実験艇に搭載し実証実験:
シャープは、船舶向けLEO(低軌道)/MEO(中軌道)衛星通信アンテナの開発で、古野電気と協業する。古野電気の実験艇に同アンテナを搭載し、9月中旬より実証実験を行う予定。
「温度揺らぎ」を利用した熱電技術:
東京大学は、物質中の温度差(温度勾配)の2乗に比例する非線形熱電効果を測定する手法を開発し、その効果を実証することに成功した。「温度揺らぎ」を用いた、新しいセンサーや環境発電素子の動作原理として期待される。
スループットはSEMの1万倍以上:
東京大学の研究グループは、レーザー励起光電子顕微鏡(Laser-PEEM)を用い、レジストに描画された潜像を極めて高速に検査できる方法を開発した。この方法を用いると半導体製造の露光工程における検査時間を大幅に短縮できる。
GaNデバイスの製造コスト削減へ:
信越化学工業は、GaN専用の成長基板であるQST基板について、300mm化を実現し、サンプル出荷を始めた。大口径基板を用いることでGaNデバイスの製造コストを抑えることが可能となる。
直径は約15mm、全長60mm以下:
日本特殊陶業と日本大学理工学部の研究グループは、小型で強力な空中超音波を出力できる「BLT(ランジュバン型振動子)型超音波エミッター」を共同で開発した。
半導体・電子材料向け化学製品関連:
AGCは、台湾・新竹に半導体・電子材料向け化学製品のテクニカルサービス拠点「AGCケミカルズテクニカルセンター(AGC Chemicals Technical Center)」を、2024年10月に開設する。
EVの高性能化、低価格化が可能に:
横浜国立大学や名古屋工業大学、島根大学らの研究グループは、高いエネルギー密度で長寿命の電池正極材料となりうる「リチウムマンガン酸化物材料」の合成に成功した。急速充電にも対応できる材料で、電気自動車(EV)の高性能化、低価格化が可能となる。
デルタ電子と最終契約書を締結:
アルプスアルパインは、パワーインダクター事業を台湾Delta Electronicsグループに譲渡することを、2024年8月29日開催の取締役会で決めた。これに基づき、デルタグループの日本法人であるデルタ電子との間で、事業譲渡に関する最終契約書を締結した。譲渡金額は約103億円。
2026年度に製品化予定:
東芝は、MEMS技術を用いて小型化し、同時に世界最高レベルの精度を実現した「慣性センサーモジュール」を開発した。このモジュールの精度は、航空機に搭載して太平洋航路をGPSなしで自律飛行できるレベルだという。東芝電波プロダクツは、新開発のジャイロセンサーを用い、小型の「可搬型ジャイロコンパス」を開発した。
幅広い用途で排熱を有効に再利用:
東京都立大学と東海理化は、カーボンナノチューブ(CNT)に化学的処理を施し、高効率の熱電変換を実現した。柔軟性や伸縮性、導電性に優れたCNTを用いた熱電変換技術は、排熱利用だけでなく、防災など幅広い用途での活用が期待される。
最大100億円規模の出資も:
SBIホールディングスとPreferred Networks(PFN)は、次世代AI半導体の開発および製品化に向け、資本業務提携を行うことで基本合意した。この合意に基づき、SBIホールディングスはPFNに対し、2024年9月末にも最大100億円規模の出資を行う予定。
電場を与えると磁壁が移動:
大阪公立大学と東京大学の研究グループは、光学顕微鏡を用いて、擬一次元量子反強磁性体「BaCu2Si2O7」の磁区パターンを可視化するとともに、磁壁を制御することに成功した。
素子の性能と信頼性の向上に寄与:
産業技術総合研究所(産総研)は名古屋大学低温プラズマ科学研究センターと共同で、プラズマ加工による半導体素子へのダメージ量を、簡便かつ短時間で定量評価することに成功した。
今後はAMOLEDが成長し市場をけん引:
ディスプレイデバイスの市場規模は、2023年の15兆6126億円に対し、2029年は18兆4974億円に達する見通しである。富士キメラ総研は、ディスプレイデバイスと関連部材の世界市場を調査し、2029年までの市場予測を発表した。
CZTSにAgを混晶した単結晶でn型化:
宮崎大学は、身の回りで放出される排熱を、効率よく電気に変換できるn型(Cu1-xAgx)2ZnSnS4(CAZTS)単結晶を開発した。n型多元系硫化物熱電材料としては最高値となる、熱電性能指数ZT=1.1を500℃付近で達成した。
東工大らが開発:
東京工業大学と東京応化工業の研究グループは、線幅7.6nmの半導体微細加工を可能にする「高分子ブロック共重合体」の開発に成功した。
量子状態と機械振動の結合も:
東北大学は、ナノメートルサイズのダイヤモンド(ナノダイヤモンド)結晶をシリコン振動子上に固定し、光検出磁気共鳴(ODMR)法を用いて、振動子上の応力を観測する技術を開発した。
有害微粒子など7種類の信号を検出:
ルネサス エレクトロニクスは、1個のモジュールで空気質に関連する7種類の信号が検出できる超小型センサーモジュール「RRH62000」を発売した。家庭や学校、公共施設における環境モニタリング用途に向ける。
−40〜200℃の動作温度範囲を実現:
日本電気硝子は、新たに開発した耐熱パッケージを採用し、動作温度範囲が−40〜200℃という「全固体ナトリウムイオン二次電池(NIB)」を開発、サンプル出荷を始めた。宇宙空間や半導体製造プロセス、医療など過酷な環境下で使用される機器に向ける。
リチウムイオン電池を置き換える:
北海道大学と東北大学および、カリフォルニア大学ロサンゼルス校は、亜鉛イオン電池用の正極材料を開発した。これにより、水系亜鉛イオン電池でリチウムイオン電池と同等か、それ以上の高いエネルギー密度と出力密度を実現することが可能となる。
PLPのキャリア基板向け:
三菱マテリアルは、チップレット技術を用いた半導体パッケージに向けた「角型シリコン基板」を開発した。開発した四角形状シリコン基板の外形は「600mm角など世界最大級」(同社)という。
銀溶出がない新規の参照極を開発:
産業技術総合研究所(産総研)は、テクノメディカや東北大学、富士シリシア化学および、筑波大学らと共同で、新規開発の参照極を用い、連続使用が可能な「長寿命小型酸素センサー」を開発した。
幅広いパワートランジスタに対応:
ロームは、産業機器用電源などに向けたPWM制御方式FET外付けタイプの汎用AC-DCコントローラーIC4機種の販売を始めた。
新世代の「DTMOSVIシリーズ」:
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、高速ダイオードタイプ(DTMOSVI(HSD))の「650V耐圧NチャネルパワーMOSFET」を発売した。データセンター向けスイッチング電源や太陽光発電パワーコンディショナー、EV充電スタンドなどの用途に向ける。
テトラポッド型正孔回収単分子膜材料:
京都大学の研究グループは、濡れ性の高いテトラポッド型正孔回収単分子膜材料「4PATTI-C3」を九州大学と共同で開発した。この単分子層を正孔回収層に用いることで、ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率と耐久性を高めることができるという。
サンケン電気が新製品を発表:
サンケン電気は、定格電圧600V/定格電流20Aの高圧3相モーター用ドライバー「SIM2-202B」を開発、量産を始めた。エアコンなどインバーター制御を行う白物家電製品の小型化や高効率化、高品質化が可能となる。
大阪公立大の研究グループ:
大阪公立大学の研究グループは、金属有機構造体(MOF)結晶の向きを揃え規則正しく並べることで、高品質な薄膜を作製することに成功した。高い透明性が求められるセンサーや光学素子、ガス吸着シートなどへの応用が期待される。
電荷種分離型の積層構造を形成:
名古屋大学と京都大学の研究グループは、電荷種分離型積層構造を形成し、高い電荷キャリア輸送特性を発現する「カチオン性π共役分子」の開発に成功した。エレクトロニクス材料としてイオン性π共役化合物を応用する上での新たな戦略として提案する。
固溶体の合成方法を新たに開発:
北海道大学は、柔らかい強誘電分子結晶の固溶体合成方法を開発し、用途に合わせて材料の特性を調整することに成功した。機能性物質である「柔粘性/強誘電性結晶」の実用化に弾みをつける。
新型太陽電池の実現につながる?:
大阪大学は日本女子大学と共同で、有機半導体の励起子束縛エネルギーを低減させることに成功した。単成分で駆動する新型の有機太陽電池や有機光触媒を実現できるという。
安価な装置で大量合成が可能に:
名城大学は、液相合成法により「単層カーボンナノチューブ」を作製することに成功した。従来の化学気相成長法(CVD 法)に比べ、安価な装置で大量に合成することが可能となる。
白金多核錯体を混合し伝導パス形成:
岐阜大学の研究グループと東京大学は、絶縁体の「ポリオキソメタレート(POM)」を白金多核錯体でつなぐと電気伝導性が向上し、半導体化することを明らかにした。近赤外光を強く吸収することも分かった。
6Gやセンサー機器などに応用:
東京農工大学とロームは、円偏波変換板と独自材料の平面レンズからなる光学素子を共鳴トンネルダイオードに搭載し、指向性が鋭いテラヘルツ(THz)円偏波を発生させることに成功した。0.3THz帯を利用する6G(第6世代移動通信)やセンサー機器などへの応用が期待される。
第一原理計算とAI技術を融合:
レゾナックは、AI(人工知能)を活用した最新のシミュレーション技術を用い、CMPスラリーによる半導体回路の研磨メカニズムを解明した。一般的な計算手法である「第一原理計算」では1000年以上かかる計算を、同程度の精度を維持しつつ100時間で行うため、新材料の開発期間を大幅に短縮できるという。
全フッ素化が重要な役割果たす:
東京工業大学はEMラボと共同で、11種類のポリイミドについて25G〜330GHzの周波数域における誘電特性を、スペクトルとして系統的に計測した。6G(第6世代移動通信)機器向け低誘電ポリイミド材料の開発に弾みを付ける。
非破壊・非接触で構造物を検査:
芝浦工業大学は、コンステックや東北大学と共同で、サブテラヘルツ波を用いコンクリート内部の鉄筋腐食状態を、非破壊、非接触で評価できる技術を開発した。構造物調査の実施率向上や予防保全型維持管理体系の構築を目指す。
安定性にも優れる:
北海道大学の研究グループは、電子移動度が78cm2/Vsで安定性に優れた「酸化物薄膜トランジスタ」を高知工科大学と共同で開発した。次世代8K有機ELテレビの画面を駆動することが可能となる。
相変化メモリの新材料として期待:
東北大学と慶應義塾大学、漢陽大学校(韓国)、産業技術総合研究所(産総研)らの研究グループは、クロム窒化物(CrN)が高速な相変化によって電気抵抗が大きく変化することを発見した。CrNは環境に優しく動作電力を低減できることから、相変化メモリ(PCRAM)の情報記録材料として期待されている。
Wi-FiやBluetoothの電波を利用:
東北大学は、シンガポール国立大学や、メッシーナ大学(イタリア)と共同で、ナノスケールの「スピン整流器」を開発し、微弱な無線通信用電波から効率よく電力を生み出す原理実証実験に成功したと発表した。
クラス最高レベルの性能を実現:
Micron Technologyは、第9世代(G9)となるTLC NANDフラッシュメモリを搭載したSSD(ソリッドステートドライブ)「Micron 2650 NVMe SSD」の量産出荷を始めた。競合製品に比べシーケンシャルリードで最大70%、シーケンシャルライトで最大103%も上回るなど、クラス最高レベルの性能を実現したという。
初版の対象はAWSクラウドサービス:
理化学研究所(理研)計算科学研究センターは、スーパーコンピュータ「富岳」以外のハードウェア環境で利用できるソフトウェア群「バーチャル富岳」初版の提供を始める。初版はAWS(アマゾン ウェブ サービス)のクラウドサービスが対象となる。
スマホなどの無線通信機能を安定化:
村田製作所は、スマートフォンなどにおいて無線通信機能を安定させることができるアンテナ間干渉改善デバイス「Radisol(ラディソル)」を開発し、量産を始めた。
層状超伝導体「PbTaSe2」で:
理化学研究所(理研)の研究グループは、三回回転対称性を有する層状超伝導体「PbTaSe2」で、磁場や磁化がなくても「超伝導ダイオード効果」が現れることを発見した。
機械学習法を適用し特徴量を抽出:
物質・材料研究機構(NIMS)は、機械学習手法を適用して、高エネルギー密度金属リチウム電池の寿命予測モデルをソフトバンクと共同開発した。充放電データから抽出した特徴量の組み合わせを最適化したところ、予測精度を示す決定係数が0.89と高いモデルを構築することに成功した。