「完全自動運転」に注目しがちだが:
カナダの自動車部品メーカーであるMagna International(以下、Magna)が2021年7月、Veoneerを買収することで両社が最終的な合意に至ったと発表した。これにより、人間をより安全なドライバーにするための技術を活用していくという傾向が、さらに顕著に明示されたといえる。今回の買収の背景にあるとみられる根拠について、取り上げていきたい。
Musk氏も「自動運転は難しい」と発言:
他ならぬTeslaのCEOであるElon Musk氏も、自動運転が難しいことを認めている。同氏は最近Twitterに「これほど難しいとは思っていなかった。振り返ってみればその難しさは明白だ」と投稿し、「現実よりも自由度が高いことはない」と付け加えた。今回の記事では複雑性理論というテーマに立ち戻り、本質的な複雑性の科学の不思議を解き明かす他、複雑性が機械学習を用いた自動運転技術の開発にもたらす課題の一部に着目する。
「レベル分け」が生んだ誤解:
2021年5月初め、SAE Internationalは自動車の自動化レベルを再び更新した。更新内容は規格「J3016」で説明されている。J3016で示された分類は最もよく知られ、広く参照されているが、結局のところ、それほど役に立っていないのかもしれない。
新興企業の参入が相次ぐ中:
今日、自社でチップを設計しているが製造していない半導体企業に疑問を呈する人はいないだろう。自動車を設計するが製造はしない自動車メーカーとの違いは何だろうか。違いはないはずだ。今後は、自動車メーカーも“ファブレス化”が進むと予想される。
開発や協業が進む:
現在、自動運転車に対する熱狂が高まる中で、車載用の視線検出やDMS(ドライバーモニタリングシステム)の果たす役割が忘れ去られてしまっていないだろうか。視線検出や視線制御の分野では、技術開発や協業が進んでいる。
ドライバーは機械ではなく人間:
UberやTeslaの事故など、自動走行モードにおける交通事故では、共通する1つの真実がある。「現実世界の状況の中で、人間のドライバーを機械のドライバーに置き換えることは、極めて難しいということが実証された」ということだ。