Google Desktopでファイルを共有する(しない)方法:Technophilia
プライバシー侵害の恐れがあるとして恐れられている、Google Desktopのファイル共有機能。使うべきか、避けるべきか?(Lifehacker)
職場のコンピュータにも家のコンピュータにもノートPCにも、それぞれファイルが保存してある。何とかこれらのファイルを同期できればうれしい。方法は幾つかある。自分でサーバを作る、有料のオンラインバックアップサービスを使う、USBメモリを使う、などだ。しかし、必ずしもお金を掛ける必要はない。Googleが全部やってくれるというのだから(ここで恐怖心をあおる音楽スタート)。
今回は、Google Desktopの機能の中でも少々物議を醸している、複数コンピュータでファイルを共有する機能について、利用すべきかどうかを考えてみよう(Google Desktop全般についてはこちら)。答えを知りたい方は読み続けてほしい。
Google Desktopのファイル共有機能とは?
基本的に、Google Desktopの「複数のコンピュータ上のデータ検索」機能では、Web上のドキュメントに加え、ユーザーが使う(職場や家庭などの)あらゆるコンピュータシステム上の全ドキュメントを検索できる。この機能を実際に動かすには、2つの条件がそろわなければならない。
Google DesktopのPreferences(設定)の画面で、Search Across Computers(複数のコンピュータ上のデータ検索)のチェックボックスを手動でオンにする。つまり、この機能はデフォルトでは無効になっている。
また、この機能を正しく動作させるためには、Google Desktopが、検索したいすべてのシステムで実行されていなければならない。
複数のコンピュータをまたいだ検索が便利なのはどういう場合か。2つほど例を挙げてみよう。職場から、娘のサッカーの試合のスケジュールを検索したい。金曜までに完成させなければならない会計プロジェクトに、家からアクセスして仕上げてしまいない、などだ。さて、ここからが問題。
“複数のコンピュータでインデックスファイルを共有するためには、Google側にあるGoogle Desktopサーバに、コンテンツを安全に転送できなければならない”のである。
えっ! デビット・ハッセルホフあてのファンレターを他人に見られてしまうかもしれないの? まあ、それはない。ユーザーシステムのプライバシーにとって、このことが何を意味し、何を意味しないのか、もう少し詳しく見てみよう。
プライバシーをめぐる幾つかの懸念
一部のかなり高名な機関が、Google Desktopに備わった複数のコンピュータ上のデータ検索機能について、あまり良い評価を下していない。電子フロンティア財団(EFF)の発言を引用してみよう。
「新機能の『複数のコンピュータ上のデータ検索』では、これを利用する選択をした場合、ユーザーが保有するあらゆるコンピュータからの検索を可能にするため、ユーザーのWord文書、PDF、スプレッドシート、そのほかのテキスト文書のコピーがGoogle側のサーバで保管される。EFFではコンシューマーに、この機能を使わないことを強く勧める。なぜならこの機能は、召喚状の発行によって政府機関から、またひょっとすると民間の訴訟でも、個人データを証拠として提出させられてしまう可能性を高めるものだからだ。また、Googleパスワードをかすめ取られた場合、ハッカーにワンストップショッピングさながらの環境を提供してしまう」
これを読んでもGoogleに対する恐怖心をあおられなかった人のために、もう1つ、PCWorldからの引用を。
「Googleは、このリモートアクセス機能によって、Google Desktopのユーザーに不用心な行動を取らせようとしている。検索界の王者たる同社が、その驚異のアルゴリズムをユーザーPC上の電子メールやほかのファイルにも適用しつつあることを知り、一部の人々は既に不快感を抱いている」
では、領主Googleさまに1個でもファイルを渡したら、われわれは奴隷として地下の穴蔵で暮らしていくしかないのか? あり得ない。その理由を説明しよう。
救いの「デフォルト設定」
冒頭で述べたように、複数のコンピュータ上のデータを検索する機能は、デフォルトでは無効になっている。Googleがあなたのファイルを探し回るかどうかという問題の前に、まずあなたがこの機能を有効にする必要がある。プライバシーの侵害が心配なら、有効にしなければいいだけだ。USBメモリを買って、手軽にファイルを持ち運びすればいい。簡単な話だ。
個人データは提供済み
Googleのアカウントを持つことによるメリットの1つに、Gmail、Gtalk、Google Calendarなど、Googleのあらゆるサービスに簡単に、統一的にアクセスできることが挙げられるが、1カ所ですべての情報が得られるということは、あなたは個人データを提供済みだということでもある。つまり、本当にそこまでプライバシーが心配なら、あらゆるGoogleのサービス、Yahoo!のサービス、Flickr、Diggからも退会した方がいい。いっそのことインターネット回線も切って、川辺でバンにこもって人生を送ればいい。
また、万一訴訟に巻き込まれても、Googleの統合アカウントを基に、Googleがあなたのファイルデータを引き出す可能性はかなり低い。あなたがGoogleでやっていることの中には、訴訟とは無関係のことがあまりに多過ぎるからだ。さらに、それでも万が一Googleに情報開示要請があったとして、Googleが情報を差し出す可能性は、あなたの勤務先や利用するサービスプロバイダーが情報を差し出す可能性よりは低いはずだ。
要するに、インターネット上で何かを共有する際の常識的意識は必要だが、Google Desktopで共有を行うかどうか、またその方法の選択権は、わたしたち自身にある、ということだ。
ファイルのプライバシーを保つために
よし、勇気を出して複数コンピュータ上のデータ検索という「禁断の果実」を食べてやろうと決心したあなたのために、カスタマイズのオプションは多数提供されている。
検索しないアイテムの指定:Google DesktopのPreferences(設定)で、ファイル共有プロセスから除外したいものを指定できる。何でも除外できる。逆に、デフォルトの固定ドライブ以外の場所を検索対象に追加することもできる。
インデックスから削除:Google Desktopのインデックス作成の対象から除外するファイルを指定できる。この機能についてはRemoving Results(検索結果の削除)ページにより詳しい情報がある。
検索対象のカスタマイズ:Preferences(設定)のGoogle Account Features(Gmail と複数のコンピュータ上のデータ検索)タブで、希望する検索対象を以下の中から選ぶことができる。
- 文書とWebの履歴
- 文書のみ
- Webの履歴のみ
- なし(ほかのコンピュータのみを検索。当該コンピュータのファイルは他のコンピュータから検索できない)
インデックスの暗号化:Preferences(設定)のLocal Indexing(ローカルのインデックス作成)タブで、データを暗号化することができる。
削除済みアイテムの除去:PreferencesのLocal IndexingタブでRemove Deleted Itemsのボックスをチェックすることで、削除済みのファイルをGoogleのサーバから永久除去することができる。Biz.ID注:Google Desktop日本語版にはRemove Deleted Itemsボックスは用意されていない
Google Gadgets:Google Account Featuresタブで「Save my Google Gadget content and settings」のボックスをチェックすることで、Googleのガジェットコンテンツと設定(リストのほか、スクラッチパッドで書いたメモなど)をインデックス対象から除外することができる。Biz.ID注:Google Desktop日本語版にはこれは用意されていない
もっと続けようか? 自分のデータの安全を守る方法はほかにもある。インデックス作成プロセスの一時中断(完全中止)、検索結果にGmailを出さない、Google.comの検索結果とGoogle Desktopの検索結果を完全に分けるなどだ。
結論:使っても大丈夫
ここで短く触れたプライバシー上の問題は、軽く扱われるべきものではない。自分のデータの保護は優先度の高い課題だ。しかし、Googleが提供する複数のコンピュータ上のデータを検索する機能は、油断しているユーザーを一斉に監視の下に置こうとするジョージ・オーウェルの小説のような侵害行為とは違う。正しい準備とカスタマイズを行うことで、有益な機能としてメリットを生むことができる。
本稿筆者ウェンディ・ボズウェルはLifehackerのアソシエイト・エディター。Google Desktopとそのサイドバー、ガジェットのファン(皆、Windowsオンリーだが)。しかしGoogle Desktopの複数のコンピュータ上のデータを共有する機能については、満足しながらも慎重な見方を保っている。Lifehackerで毎週火曜、Technophiliaコラムを連載中。
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この記事は、Lifehackerの発行元である米Gawker Mediaの許可を得て、アイティメディア株式会社が翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。