Whatを見つけて、今いる会社でオンリーワンの自分になる:自分らしいキャリアを築くために(3/3 ページ)
今回からは、より実践的に、Whatを引き出す方法を学んでいきます。まずは、現職レベルのWhatを引き出す方法を紹介します。
現職レベルのWhatを見つけて、会社の希望にも応えられた例
ある版権を売っている会社で働いているAさんの例です。Aさんは、住宅展示場で、あるキャラクターを飾り付けるプロジェクトをやりたいと希望しています。
ところが上司は、そのプロジェクトはお金にならないからダメだ、といいます。実は、相談に来たのは、この上司の方で、Aさんはこの人の部下です。部下は住宅展示場をやりたい。しかし上司は、それはやってもお金にならないし、11月の決算までに、どうしてもこれだけの売り上げを上げないと、ウチの部署の存続が危ぶまれる、と反対しました。すると、部下のやる気がなくなってしまった、という話をされたんです。
そこで、まず、上司の方に、「住宅展示場のプロジェクトをどうしてやりたいか、それの何が楽しいのかを徹底的に聞いてください」とお願いしました。すると、Aさんの「住宅展示場をこんな風にしたい!」という気持ちが膨れ上がります。さて、この後に、「だけどさ、それがいいのはわかるけど、11月の決算を考えろよ」と言ってはいけません。Aさんの気持ちをつぶしてしまうことになるので、上司からそれを言い出してはいけません。
「なるほど、住宅展示場をやりたいと。ところで、会社はどんな状況で、何を求めていると思う?」と部下のAさんに聞きます。するとAさんは「11月の決算まで、これだけ上げないと、ウチの部署が潰されるのは分かる」と答えました。そこで「ほらみろ」ではダメですよ。こういうと、「もう、この上司に言ってもダメだ」となってしまいます。部下がやりたいといったことを、絶対否定してはいけません。否定した瞬間、やる気がしゅるしゅるーと小さくなってしまいます。でも膨らますばかりでは、お金にならないことばっかりなので、会社がつぶれちゃいますね。なので、Aさん本人に聞いて、言わせることが大事です。
そしてここで「君の住宅展示場のプロジェクトもやりたいし、11月の決算までの売り上げも出したい。どうしたら両方が満たせるだろうか」というように、真摯に部下に接してほしいのです。すると、部下は「そんな方法、ないですよ」とは言えなくなります。もし「ない」と言われても、「もしあったとしたら、どうだろう?」と聞きます。誠心誠意、「君の希望も満たしたいし、会社が今、求めているものも満たしたい。その両方が満たされる方法があるに違いない」という姿勢で話すのです。そうすると、部下は、いつかは考えてくれるのです。
この場合は、Aさんが、「11月の決算までは、一番収入になる仕事を徹夜してでもやります。その代わり、決算に目標数値が達成できたら、比較的暇なそのあとの2、3カ月は住宅展示場のプロジェクトをやらせてください」ということで、解決しました。会社としては、そんな勢いでできるんだったら、ほかの月も同じペースでやってくれ、といいたくなるんですが、違います。あとで好きなことができると分かっているから、そんなに好きじゃないものもがんばれるのです。
こんな風にすると、本人はやりたいことができるし、会社の売り上げも上がります。社員は、会社の給料が自分の労働から出ていると、ちゃんと分かっています。「金にならないものばかりやるけれど、金だけくれ」なんて、さすがに言えません。でも、上司が「金にならないことばっかり言って、どこから給料もらってると思ってるんだ」と言ってはダメなのです。このことは、本人の口から言わせて、希望は否定しない。そして「どうしたら両方、満たせるだろう」と聞いていく。部下のWhatと会社のWhatを見つけたら、ここを糸口にして話し合いができるのです。
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