どうやって“What”を引き出せばいいか:自分らしいキャリアを築くために
人には、「価値観型」と「ビジョン型」の2タイプがあり、価値観とビジョン=Whatを見つけ出すことで、やりがいが生まれます。この“What”を見つけるやり方を、前回に引き続き紹介しましょう。
連載タイトル | |
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1 | キャリアに「目標」は必須ではない |
2 | 判断&行動の基準「What」を明確にする |
3 | みんな「どうしたら?」は得意だけど…… |
4 | 4つのレベルでWhatを引き出す |
5 | どうやって“What”を引き出せばいいか |
6 | 個人のWhatと会社のWhatの共有ゾーンを広げよう |
7 | Whatを見つけて、今いる会社でオンリーワンの自分になる |
WhatからHowが大事だというのは分かったかもしれませんが、では、どうやってWhatを引き出すことができるでしょうか。
Whatを引き出すには
私たちは、過去・現在・未来の時間の軸で生きていますが、過去には良かったこと、楽しかったことがあるし、辛かったこと、嫌だったこともあります。過去の楽しかったことの延長線上である現在に、「自分らしさ」「価値観」「自分にとって何が大事?」があります。そして、さらにその延長線上の未来に、「ありたい姿」「本当はどうなればいい?」があります。
前回説明したように、「自分らしさ」と「ありたい姿」を合わせてWhatになります。価値観もWhat、ビジョンもWhatです。価値観から積み上げ式に行くほうがいい人と、ビジョンからトップダウン式に行くほうがいい人がいる、ということですね。
Whatが4つのレベルに分かれる、というのは、現在と未来の間にある状態です。まず、1番広い領域が、人生全体で自分がどんな人生を送りたいか、という「人生でのありたい姿」。そして、40年間の仕事の中で、どんなことをしたいかが「キャリアでのありたい姿」。その手前、40年間、ずっとかもしれないし、転職するかもしれないけれど、今の会社でどうなりたいかが「現職でのありたい姿」。そして、1カ月単位、3カ月単位、半年単位で流れていく個別の案件がどうなればいいかが「案件の完成のイメージ」です。それぞれで、「何を大事にしていきたいか」が一貫していると、充実した人生を送れます。
逆に、過去の「これは嫌だ」「これは辛い」という延長線上に、「これだけは嫌だ」という価値観もあります。その延長線上の未来には「こんな人生嫌だよな」という辛い仕事、嫌な人生が待っています。
例えば、過去に大量の仕事を引き受けてしまって、2、3週間は睡眠不足でクタクタになった後、大事な仕事を引き受けたら大失敗してしまって信頼を失った。だからそれ以来「マイペースで仕事をする」という価値観があるにもかかわらず、また大量の仕事を引き受けると、それは辛い仕事になりますね。しかし一方では、「常に自分の限界を超える」という価値観の人もいます。その人が、大量の仕事を引き受けると、「常に限界を超えていく」という「ありたい人生」になるのです。このように、過去の出来事が違うことで、価値観やビジョンは違ってきます。
平本相武の価値観やビジョン
例えば私の場合を紹介しましょう。小学校の時代、算数が得意だったのですが、ある日、先生がいない間に、算数を教えるようにいわれて、1コマを受け持ちました。すると、「平本の算数は分かりやすいよ」と。みんなに褒められて以来、人前で教えることほど楽しいことはないんです。人が多ければ多いほどワクワクする。そんな人間が、研修やセミナーをどんどんやっていけば、ありたい人生にいきます。一方で、書籍は3冊出しているのですが、ホテルで3カ月間、執筆だけしていろ、となると、こんな辛いことはない。もし、本の人気が出て、セミナーはやらなくていいので、執筆だけやってください、なんて言われて執筆活動が増え、ベストセラー作家にでもなろうものなら、とても辛い人生なんです。
じゃあ、すべての人が人前で話すことにワクワクして、文字を書くのが苦痛かといえば、違いますね。ある人は文字を書くことほどワクワクすることはないし、1000人の前で話をさせられるなんてゴメンだ、という人もいますね。だから、世の中はうまくいくんですね。みんなが我慢しあうわけでもありません。
自分のWhatを明確にし、発言する
まず自分が何をしたいのかを、先に見つけてほしいのです。自分が何をしたいのか見つからないから、会社に「これをやれ」といわれたら、ただやるしかないことになるのです。嫌だと断っても、「じゃあ、何がしたいんだ?」と聞かれたら、「わかりません」と答えるようでは、「じゃあ。やれよ」となりますね。ですから、まず、自分は何が大事かを見つけてください。そのヒントの1つが自分の過去にあります。過去を引き出すことで、「何が大事か」「何が嫌か」ということを明確にできるかもしれません。そうすると、自分は人と違う、ということに気が付くはずです。
自分の大事なもの、実現させたいものを明確にし、会社でそれを実現しようとすれば、みんなが生き生きとして、お互いに支え合う会社になれるのです。実は倉庫番が好き、という人もいるかもしれない。きちんと整理するのが好き、守ることが好き、という人が営業をやらされて、人に接することの好きな人が倉庫番をやらされたら、会社も本人も不幸ですね。
まず、明確に自分のWhatを引き出しましょう。皆さんがWhatを見つけて、会社で実現できるようにしてほしい。「そんなの、ウチの会社では実現できないよ」と言わずに、まず、自分の上司なり、同僚なり、役員なりに、「自分はこんなことがしたい」「これを大事にして仕事をしたい」「もちろん、そうすることで実績も出すから、これをやらせてくれ」と提案してください。それをやりもせず、「ウチでは無理」なんて絶対にいわないでください。そして、100%本気でコミットして、言って、ダメだったら、そんな会社は辞めたほうがマシです。なぜなら、そんな会社は長くもちませんから。ただ、言いもせずに無理なんていわないでください。どこに行っても、自分から言わないと、何も変わっていかないのですから。
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