連載
» 2006年12月08日 16時39分 公開

自分らしいキャリアを築くために:どうやって“What”を引き出せばいいか

人には、「価値観型」と「ビジョン型」の2タイプがあり、価値観とビジョン=Whatを見つけ出すことで、やりがいが生まれます。この“What”を見つけるやり方を、前回に引き続き紹介しましょう。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

自分らしいキャリアを築くために
  連載タイトル
1 キャリアに「目標」は必須ではない
2 判断&行動の基準「What」を明確にする
3 みんな「どうしたら?」は得意だけど……
4 4つのレベルでWhatを引き出す
5 どうやって“What”を引き出せばいいか
6 個人のWhatと会社のWhatの共有ゾーンを広げよう
7 Whatを見つけて、今いる会社でオンリーワンの自分になる

 WhatからHowが大事だというのは分かったかもしれませんが、では、どうやってWhatを引き出すことができるでしょうか。

Whatを引き出すには

 私たちは、過去・現在・未来の時間の軸で生きていますが、過去には良かったこと、楽しかったことがあるし、辛かったこと、嫌だったこともあります。過去の楽しかったことの延長線上である現在に、「自分らしさ」「価値観」「自分にとって何が大事?」があります。そして、さらにその延長線上の未来に、「ありたい姿」「本当はどうなればいい?」があります。

 前回説明したように、「自分らしさ」と「ありたい姿」を合わせてWhatになります。価値観もWhat、ビジョンもWhatです。価値観から積み上げ式に行くほうがいい人と、ビジョンからトップダウン式に行くほうがいい人がいる、ということですね。

 Whatが4つのレベルに分かれる、というのは、現在と未来の間にある状態です。まず、1番広い領域が、人生全体で自分がどんな人生を送りたいか、という「人生でのありたい姿」。そして、40年間の仕事の中で、どんなことをしたいかが「キャリアでのありたい姿」。その手前、40年間、ずっとかもしれないし、転職するかもしれないけれど、今の会社でどうなりたいかが「現職でのありたい姿」。そして、1カ月単位、3カ月単位、半年単位で流れていく個別の案件がどうなればいいかが「案件の完成のイメージ」です。それぞれで、「何を大事にしていきたいか」が一貫していると、充実した人生を送れます。

 逆に、過去の「これは嫌だ」「これは辛い」という延長線上に、「これだけは嫌だ」という価値観もあります。その延長線上の未来には「こんな人生嫌だよな」という辛い仕事、嫌な人生が待っています。

 例えば、過去に大量の仕事を引き受けてしまって、2、3週間は睡眠不足でクタクタになった後、大事な仕事を引き受けたら大失敗してしまって信頼を失った。だからそれ以来「マイペースで仕事をする」という価値観があるにもかかわらず、また大量の仕事を引き受けると、それは辛い仕事になりますね。しかし一方では、「常に自分の限界を超える」という価値観の人もいます。その人が、大量の仕事を引き受けると、「常に限界を超えていく」という「ありたい人生」になるのです。このように、過去の出来事が違うことで、価値観やビジョンは違ってきます。

平本相武の価値観やビジョン

 例えば私の場合を紹介しましょう。小学校の時代、算数が得意だったのですが、ある日、先生がいない間に、算数を教えるようにいわれて、1コマを受け持ちました。すると、「平本の算数は分かりやすいよ」と。みんなに褒められて以来、人前で教えることほど楽しいことはないんです。人が多ければ多いほどワクワクする。そんな人間が、研修やセミナーをどんどんやっていけば、ありたい人生にいきます。一方で、書籍は3冊出しているのですが、ホテルで3カ月間、執筆だけしていろ、となると、こんな辛いことはない。もし、本の人気が出て、セミナーはやらなくていいので、執筆だけやってください、なんて言われて執筆活動が増え、ベストセラー作家にでもなろうものなら、とても辛い人生なんです。

 じゃあ、すべての人が人前で話すことにワクワクして、文字を書くのが苦痛かといえば、違いますね。ある人は文字を書くことほどワクワクすることはないし、1000人の前で話をさせられるなんてゴメンだ、という人もいますね。だから、世の中はうまくいくんですね。みんなが我慢しあうわけでもありません。


自分のWhatを明確にし、発言する

 まず自分が何をしたいのかを、先に見つけてほしいのです。自分が何をしたいのか見つからないから、会社に「これをやれ」といわれたら、ただやるしかないことになるのです。嫌だと断っても、「じゃあ、何がしたいんだ?」と聞かれたら、「わかりません」と答えるようでは、「じゃあ。やれよ」となりますね。ですから、まず、自分は何が大事かを見つけてください。そのヒントの1つが自分の過去にあります。過去を引き出すことで、「何が大事か」「何が嫌か」ということを明確にできるかもしれません。そうすると、自分は人と違う、ということに気が付くはずです。

 自分の大事なもの、実現させたいものを明確にし、会社でそれを実現しようとすれば、みんなが生き生きとして、お互いに支え合う会社になれるのです。実は倉庫番が好き、という人もいるかもしれない。きちんと整理するのが好き、守ることが好き、という人が営業をやらされて、人に接することの好きな人が倉庫番をやらされたら、会社も本人も不幸ですね。

 まず、明確に自分のWhatを引き出しましょう。皆さんがWhatを見つけて、会社で実現できるようにしてほしい。「そんなの、ウチの会社では実現できないよ」と言わずに、まず、自分の上司なり、同僚なり、役員なりに、「自分はこんなことがしたい」「これを大事にして仕事をしたい」「もちろん、そうすることで実績も出すから、これをやらせてくれ」と提案してください。それをやりもせず、「ウチでは無理」なんて絶対にいわないでください。そして、100%本気でコミットして、言って、ダメだったら、そんな会社は辞めたほうがマシです。なぜなら、そんな会社は長くもちませんから。ただ、言いもせずに無理なんていわないでください。どこに行っても、自分から言わないと、何も変わっていかないのですから。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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