連載
» 2006年12月14日 12時10分 公開

自分らしいキャリアを築くために:個人のWhatと会社のWhatの共有ゾーンを広げよう

会社の論理と自分のしたいこと──。どうやったら、うまく折り合いを付けて、妥協するのではなく昇華できるのでしょうか。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

自分らしいキャリアを築くために
  連載タイトル
1 キャリアに「目標」は必須ではない
2 判断&行動の基準「What」を明確にする
3 みんな「どうしたら?」は得意だけど……
4 4つのレベルでWhatを引き出す
5 どうやって“What”を引き出せばいいか
6 個人のWhatと会社のWhatの共有ゾーンを広げよう
7 Whatを見つけて、今いる会社でオンリーワンの自分になる

 今、多くの会社がどうなっているかというと、図の状況です。(丸が重なっている図)会社は、「会社にとって大事なのは、これで、会社はこれを目指している。だいたい売り上げがこれくらいで、シェア○%を目指している」という話をしますね。そのために、「君にはこうなってほしい。売り上げをこれだけ上げられるようにしてほしい。だから、土日残業してでも、こうすべきだ」という論理が会社側にはあります。

 これは当たり前といえば、当たり前なのですが、それで何が起きているかというと、個人がプレッシャーを感じて萎縮してしまうことにつながります。会社の「何が大事、どうなりたい」が優先されて、個人の「何が大事、どうなりたい」つまり価値観やビジョンがないがしろにされているのです。

 30年〜50年前だったら、会社に入ることは、「生涯、この会社に身も心もささげます」ということでした。だから、会社が残業しろといったら残業したし、結婚しろといったら結婚した。社員旅行だといったら社員旅行に行き、飲み会といったら飲み会をやった。土日も出ろといったら出る、給料減給といったら減給。何を言われても社長の言う通り、会社の言う通りでした。なぜなら、生活が苦しい時期だったからです。自分の人生をデザインするという発想はありませんでした。「雇ってもらえただけで、感謝しています。一生懸命働きますので、どうぞよろしく。生涯、お給料ください」という発想ですね。昔はそれで仕方がないです。

 今の人たちは、こんな風には考えません。この会社に“おいしいところ”があったら残ろう、と思うのです。おいしいというのは、やりがいでもいいし給料が高いでもいい。ところが、皆さんの部下も、あるいは皆さん自身もそうかもしれませんが、おいしいところがないから辞めようと思っていても、じゃあすぐ辞めるかといえば、「せっかく世間並みの会社に入ったから」とか「やっと馴染んだから」という理由で、あまり辞めないんですね。

 特に大企業に入った人は、「せっかく大手に入ったのだから」と考えてしまいがちですね。辞めようと思うけれど、辞めない。会社は生産性を上げるために、プレッシャーをかける。すると余計萎縮してしまう。「ああ、やだな〜」、じゃあ、辞めるのかといえば、辞めない。プレッシャーをかける……これが繰り返されると、どんどん萎縮して、生産性は低いのに会社には残ってしまう。ここで希望退職なんか募ろうものなら、実力がある人は、「ほかでもなんとかやっていける」と思って退職してしまい、一番役に立たない人が残ってしまいます。

2つの円をふくらませて、重なりを作る

 こういう場合には、「自分は何がしたいのか」「自分がどんなときにやりがいを感じるのか」という自分のワクワク感を膨らませてほしいのです。図でいうと、同心円の距離は一緒でいいので、円をふくらませることです。「この会社で、本当はこんなことができたら楽しいな」「こんなことができたら、私はこの会社でもっとがんばれるのに」と思うことを膨らませると、ワクワク感が広がって、会社との共有ゾーンが広がるのです。現代では、「社長のために命をささげます」という感覚はありませんので、(円の中心に)近づく必要はありません。共有ゾーンを広げることです。

 一番いい方法は、寄っていくのではなく、膨らませることです。まずは、個人にとっての「何が大事で、どうなりたい」を先に押さえます。会社ではなく、個人を優先させることが大事です。ただ、本人のやりたいことを見つけるだけで終わってしまうと、ややもすると円の中心が外側にずれてしまうだけになってしまいます。そうすると、「ありがとうございます。おかげさまでやりたいことが見つかりました。会社を辞めます」なんてことになりかねません。なので膨らませてほしいのです。そうすると結果的に共有ゾーンが広がります。

 社員も、「やりたいことが見つかったから、辞めてほかでやります」とすぐに言うのではなく、今の会社で、できる方法がないかを探ってほしいのです。本気で探りに探って、本気で上司に懇願して、ダメだったら辞めればいいのです。それをせずに辞めるのは避けてほしい。どこの会社にいっても、自分から言わなきゃダメなのです。だったら、一番手っ取り早いのは、今いる会社ですよね。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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