第2回 リラクゼーションのテクニック──身体・感情・感覚:リラクゼーションの7種の技法(3/4 ページ)
心と身体をリラックスさせるリラクゼーションの技法を7つの切り口から紹介。どれも、気軽に始められるリラクゼーション法です。まずは、自分に合っているものから選び出してやってみよう。
これは何々の神経に効きますとか、これは食欲に効くとか、これもいい、これもいる、これもいる……となると、だんだん分からなくなってきます。また、私の経験上、よほど熟練している人でない限り、お店の人が調合してくれたものは、気に入らない香りになることも多いようです。サンプル品で香りを嗅いでみて「いい感じだな」くらいで選ぶことを勧めます。その人がもっとも必要とする香りというのは、実はその人が一番よく知っているのです。そして、最初は一個だけにしておいてください。
こんな実験があります。ねずみの実験で、AのねずみはビタミンAが入っていないエサ、BのねずみはビタミンB群が入っていないエサ、CのねずみはビタミンCが入っていないエサを与えます。つまり、それぞれのねずみに、特定のビタミン欠乏症になるようなエサを与えます。そして後日、ビタミンAとB、Cが入っている水を1つずつ用意して与えると、ねずみは、自分が一番必要なビタミンが入っている水を飲むというのです。つまり、動物は本来、自分が欠乏している栄養を補給しようとする傾向があるのです。
では、食べたいものを食べればいいのかというと、そうではありません。人間は動物のレベルだけでは食べていません。人間は頭で食べていたり、舌で食べていたりします。ですので、ほとんどの現代人にこの実験結果は適用されません。カツ丼の匂いをかいだら食べたくなった、とかいうものは、全く当てはまりません。食べ物に関しては、残念ですが感覚で選ぶのはお薦めしません。
しかし、匂いに関しては、好きな香りが必要な香りだというほかに理由がありませんね。だから、できるだけ効能を見ずに選んでみてください。同じラベンダーのお香でも、たくさんのメーカーのものがありますし、メーカーによって香りは全然違います。値段も違います。最終的には、値段が高かろうが安かろうが、自分が気に入った香りがいいのです。
ただ、香りがよく分からない、という人は、一般的に人気がある香りから始めるのもいいでしょう。日本人が最も好むといわれている香りはラベンダーです。また、柑橘系も人気があります。ベルガモットなどがそうですね。ちなみに、私が個人的に好きなのはゼラニウムです。でも、これは嫌いな人もいるようですね。
香りを1つ決めて買ったら、毎日焚いてみましょう。だんだん良い感じになってきたな、と思っていても、ある日、パタッと飽きる日がきます。そのときが、次の香りに行くべきときです。これよりもこっちのほうが良くなってきた、といって選べるようになるんですね。このように、1つを嗅ぎ続けて飽きたら次、というようにゆっくり学んでいってほしいですね。アロマテラピストになるならそれでは困るかもしれませんが、自分がリラックスするためだけなら、それでいいのではないでしょうか。
オイルよりも手軽なのがお香です。一番オーソドックスなのは、白檀と沈香、伽羅ですね。白檀はちょっと仏壇っぽいという人もいますけれど、まず、この3種類を押さえましょう。たいていのお店で、その場でにおいを確かめられますので、ちょっと嗅いでみて選んではどうでしょう。
色彩や形を観賞してリラックスする方法には、美術館に行く、景色を観に行くなどがあります。季節が外れていますけれど、クリスマスならイルミネーション、秋なら紅葉などで目を楽しませましょう。
また、キャンドルの炎や砂時計の砂が落ちるのを見るというのは、意外とリラックスになります。砂時計なら3分間の気分転換。砂が落ちていくのを見るだけでも面白いものです。
クレヨンで絵を描く方法もあります。クレヨンや画用紙は100円ショップでも売っていますので用意して、絵を描こうと思わず、落書きをする感覚でやってください。子供の頃のように、好きな色をずっと塗っているだけでも気分が変わります。
音楽を聴くのもいいことです。最近、音楽を聴いていないという人は、新しい曲ではなく、昔聴いていた懐かしい曲を聴いてみてください。サザンやユーミンあたり、もしくはクラシックなんてどうですか? ちょっと聴いただけで気持ちがリラックスします。
また、好き嫌いはあるのですが、環境音楽を流すとリラックスできる人もいます。せせらぎの音、海の波の音、鳥の鳴き声などがあります。
五感を満たしてリラックスする――胃で食べる
体感を満たすことに関わることですが、「自分の胃に聞いて食べる」ことを忘れないでほしいです。「食べようかな、どうしようかな」と思ったときに、頭や口ではなくて、胃が欲しているかどうかを確かめてみてください。
人間は4つの食べ方をします。
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