モバイルGmail“正式版”でできること、できないこと
Gmailを携帯電話から閲覧できる「モバイルGmail」では、PDFやWord、画像などメールに添付されたファイルも携帯から内容を確認できる。ただし、携帯から読めるファイル形式や画像のサイズには制限があるので気をつけよう。
グーグルは4月10日に、Gmailを携帯電話から閲覧できる「モバイルGmail」の提供を開始するとアナウンスした(4月10日の関連記事参照)。しかし、編集部では2006年11月時点ですでにauの一部携帯電話からGmailが利用できたことを確認している(2006年11月の関連記事参照)。ただし、グーグルはこれは正式な対応ではないとした(2006年11月の関連記事参照)。
今まで一部の携帯からGmailが使えた理由は「海外向けのサービスとして作っていたものがたまたま日本からも使えたので、わざわざ遮断するのもおかしいだろう、ということで開放していたもの」(グーグルの石原直樹ビジネスプロダクトマネージャー)だという。今回、モバイルGmailが日本の3キャリアに対応した“正式版”となって、どう変わったのだろうか。
3キャリアでIDとパスワードの記憶機能を備え、細かい改善も
まずはhttp://gmail.com/からログイン。携帯のキー入力でIDとパスワードを何度も入力するのは面倒なので、モバイルGmailにはオートログイン機能が用意されている。
NTTドコモのユーザーは、端末の製造番号(UTN)(2001年2月の記事参照)を送れば、初回に一度IDとパスワードを入力するだけで、2回目以降は自動的にログインできる。auとソフトバンクの端末では「次回から入力を省略」ボックスにチェックを入れることで自動ログインを実現した。
また細かい点だが、ログイン時にアカウントとパスワードを入力する際、従来は入力モードが日本語のままだったのが、アルファベット入力になるように改善された。
ログインすると最初に受信メール一覧が表示される。従来の“非公式版”で起こることがあった、メール一覧や本文の文字化けは直っている。また、モバイルGmailの未読管理やスターなどはPC版のGmailと連動する。このため、携帯からメールを読んだりスターをつければ、PCから見ても反映しているわけだ。個別のメールはPC版と同じくスレッド表示で、検索ボックスもある。逆に、携帯からできないことは、新規メールアカウントの作成、メールへのラベル指定など。携帯の絵文字にも対応していない。
現在、PC版のGmailでは広告が表示されているが、モバイルGmailには広告は表示されない。現時点では「全世界のモバイルGmailに広告を表示していない」(石原氏)という。「今は利益をあげることよりも、より使いやすくしてより多くのユーザーに使ってもらうことを優先している」
また、今回の携帯対応は一般向けのGmailのみで「Googleアプリ独自ドメイン向け」(2006年11月の記事参照)に含まれるWebメールサービスには対応していない。
携帯からWordやPDFの添付ファイルが読める――ただしOffice 2007には未対応
移動中に携帯からGmailに届いたメールをチェックすると、添付ファイルの付いたものが届いている。簡単に中身を見ておきたい――。モバイルGmailでは可能だ。PDF、Wordファイル、PowerPointファイル、HTMLファイル、各種画像ファイルがメールに添付されている場合に
は見ることができる。画像ファイル以外は、各ファイルの内容をテキスト化したものが読めるようになっている。ファイル中に含まれる文字の大きさや画像ファイルは反映しない。
編集部で3キャリアの携帯を用いて試したところ、Wordファイルの場合は、Word 2003以前の「.doc」形式にだけ対応し、Word 2007による「.docx」形式には対応していない。PowerPointファイルの場合も同様にPowerPoint 2007の「.pptx」形式には非対応だった。
また、一定のファイルサイズを上回る画像もモバイルGmailからは見られない。編集部でさまざまなサイズのJPEG画像を作って試したところ、299キロバイトの画像ではサムネイル画像が表示できたが、300キロバイトの画像では、サムネイルやファイルへのリンクが表示されなかった。「300キロバイト以上の画像はモバイルGmailでは確認できない」と言えそうだ。なお、PDFなどほかの形式では、ファイルサイズによる制限は確認できなかった。
添付ファイル閲覧機能は、Excelファイルには未対応
モバイルGmailの添付ファイル閲覧機能は、PDFやWord、画像ファイルと同様にメールに添付される頻度が高いExcelファイルには対応していない。PC版のGmailなら、添付ファイルがスプレッドシートまたはワープロ文書の場合はGoogle Docs & Spreadsheetsで開くことができる(2007年1月30日の記事参照)。
こうなったら「Google Docs & Spreadsheetsがモバイル対応し、PC版で連携しているようにスプレッドシートも携帯から読めたら言うことなしなのだが」――こんな要望をグーグルにぶつけると「Google Docs & Spreadsheetsのモバイル対応に関しては未定」としながらも「今年のGoogleは、各サービスの携帯対応を積極的に進めていく」と答えてくれた。
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