「Mozilla 24」で聞いたIEの反省、Operaの余裕:Mozilla 24
主役は、FirefoxかIEか、はたまたOperaか──。9月15日〜16日の24時間連続イベント「Mozilla 24」では、Mozillaスタッフだけでなく、Internet Explorerに関連する部署のマイクロソフト社員やOperaのユーザーなどを交えたディスカッションも行われた。討論の主役は果たして──。
主役は、FirefoxかIEか、はたまたOperaか──。Mozillaが主催した24時間連続イベント「Mozilla 24」。9月15日〜16日に開催されたMozillaのイベントだから、無論Firefoxなどの話題で持ちきりだったのだが、Mozillaスタッフだけでなく、Internet Explorerに関連する部署のマイクロソフト社員やOperaのユーザーなどを交えたディスカッションも行われた。討論の主役は、どのブラウザか──。
ブラウザは「選択できることが大事」
9月に入って4億ダウンロードを達成したFirefoxだが、まだまだIEの壁は厚い。IEに勝つため、なりふり構わない配布方法が必要なのではないか。会場からはそういった質問もあった。
Mozillaでマーケティングを担当する金井玄氏は「Firefoxの公開以来、メーカー製PCにプリインストールを依頼するというアイデアは常にあった」という。だが、プリインストールはブラウザ選択の幅を狭める。「ブラウザは、選択できることが大事」と考えるから、プリインストールは行ってこなかったというわけだ。
「Mozillaとしては(プリインストールよりも)数あるブラウザからFirefoxを選んでくれるほうがうれしい」。単純にシェアの獲得競争ではなく、Firefoxを求めているユーザーを増やすことが重要と考えている。こうしたユーザーが、Firefoxを友達に勧めたり、Firefoxの拡張機能を作ってくれたりする──のが狙いなのである。
「いつでもどこでも」のOpera、モバイル版IEはタブ機能搭載で対抗
本来、Operaでマーケティングを担当する市川恵貴氏も出席するはずだったが、海外出張のため不参加。この不測の事態にも“余裕”を見せたのは、Operaユーザーたちだ。熱狂的なOperaユーザーであるブログ「TERRAZINE」のTERRAZI氏は「Operaは、いつでもどこでも使える」と主張。確かにウィルコムの「W-ZERO3」をはじめ、携帯電話用にカスタマイズされたOperaブラウザの普及は進んでいるし、任天堂の「Wii」にも搭載されている。「最終的にはOperaが勝つのではないか」と“大胆発言”も飛び出した。
IEにもモバイル版(Windows Mobile版)は存在する。会場からは「モバイル版は(Operaよりも)IEのほうが速かったりする。モバイル版のIEがタブブラウザ機能を搭載するとOperaは厳しいのではないか」という意見もあった。この指摘にはTERRAZI氏も「ちょっと待っとれ!」。マイクロソフトでIEの開発に携わる五寳匡郎氏は、「Windows MobileのIEは別チームが開発していて、あまり把握していない」と断った上で、「Windows Mobile 6までは以前のIEをベースに作っている。次からはちょっと新しいIEがベースになるのではないか」とコメント。Windows Mobile 7からは、タブ機能を搭載したIE7ベースのモバイル版IEが登場することを示唆した。
なお、2007年第3四半期に自動更新を予定していたPC版IE7だが、IEのマーケティングを担当する原田英典氏によれば「2008年にずれ込む」。これは「インストールをより円滑にし、インストール後の使い勝手を向上するため」だという。
IEが悔やむCSS対応、次バージョンで解決?
議論が白熱したのはWeb標準技術への対応について。「(IE7で)CSS 2.1の対応が不十分だった」と悔やむのはマイクロソフトの五實氏。「ユーザーが使っていってるところから対応していくべきだった」と、次バージョンでの巻き返しを図る。「すでにスペックレビューを行っており、日本国内からも開発者の意見を聞いている」という。なお、次バージョンを仮に「IE8」だとすると、「Windows Vistaには対応するが……」と言葉を濁した。Windows XPへの対応は未定のようだ。
Operaユーザーはここでも元気だ。α版が公開されたばかりの「Opera 9.5」ではCSS 3.0に対応済み。「開発者としては楽しくなってきた」という。ただし「Web標準という意味では、ほかのブラウザでもCSS 3.0が利用できないと困る」ともチクリ。「IEが頑張ってくれることを熱望する。各ベンダーがサポートしてくれてこそのWeb標準ではないか」とエールを送る場面もあった。
Web標準で“共闘”が提案される一方、会場からはActiveXコントロールなど、独自拡張についての“非難”もあった。「独自拡張ではなく、軽快さや使いやすさで競争してほしい」
ただ独自拡張については複雑だ。「独自に実装を競い合うことで、いい仕様が生まれることもある」(五實氏)との意見もあるからだ。「独自拡張を完全になくしてしまうと成長がストップしてしまうのではないか。ActiveXの問題は間違いだったかもしれないが、独自実装の試みが悪いこととは思っていない」
ディスカッション終了予定時刻である午後11時が近づくと、オンラインのチャットでは延長を要望する声が──。筆者は残念ながら最後まで見届けることなく会場を後にしたが、イベント後も“ブラウザ戦争”は続く。今後の主役はどのブラウザになるのか、注目しておこう。
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