今日のやる気を未来に“繰り越す”には?【解決編】:シゴトハック研究所
どうやったらスムーズに仕事に“取りかかる”ことができるのでしょうか。“仕事エンジン”のかけ方を考えてみましょう。
今回の課題
今日のやる気を未来に“繰り越す”には?
コツ:「未来日記」をつける
どんな仕事も、取りかかることさえできれば、あとはだんだんと調子が乗ってきて続けられるものです。それゆえ「取りかかり」の“敷居”をいかに乗り越えるかが常に課題になります。
一方、いったん続き始めると、今度は中断するのが惜しくなることがあります。せっかくスピードに乗ってきたのだから、ということに加えて、「明日になったらこの調子の良さは再現できないかもしれない」という不安が生じるからです。
自分でやっていることにも関わらず、この「調子の良さ」、あるいは「やる気」というのは思うに任せないものです。
どうすれば一度盛り上がった「調子の良さ」や「やる気」を、翌日に“繰り越す”ことができるでしょうか。
終わらせるための見通しを立てる
そもそも、やる気が起きるのはどのような時でしょうか。それが分かれば、クルマのエンジンをかけるのと同じように、自分の“仕事エンジン”を始動できるはずです。
例えば、部屋の整理をしようとする時に、あまりにもひどく散らかり過ぎていると、どこから手をつけていいか途方に暮れてしまうでしょう。そこで、
「とりあえず今日は本棚の整理だけをすればいい」
などと、整理する場所を限定してみます。こうすることで、「本棚の整理だけでいいなら」ということで、取りかかりやすくなるでしょう。「部屋の整理をし終える」という最終結果にはほど遠いかもしれませんが、少なくともそこに一歩近づくことができます。これは、取りかかりの“敷居”を下げていることになります。
仕事においても、一日では到底終えることができそうもない分量の仕事を抱えていれば、自ずと現実逃避に走りたくなるものです。そして、本来やるべきことを差し置いて、メールチェックや急ぎでない連絡用件などに手を伸ばし、ますます事態を悪化させてしまいます。
ここで必要なのは、無理のない作業量に絞り込むことです。もちろん、複数ある仕事のどれもが翌日までに仕上げなければならない、という状況もあるかもしれません。それでも、人間が一度にできる仕事は1つだけですから、無理矢理にでも1つだけ仕事を選び取る必要があります。
複数の仕事を抱えていると、その事実そのものがプレッシャーになり、何とかそのプレッシャーから逃れたくなります。最も適切な対策は、仕事を片付けてしまうことですが、ちょっとやそっとでは片付きそうもない仕事の山を前にしては、なかなかやる気が起きません。
そこで、片付けてしまうことはいったん諦めて、どうすれば片付くのかの見通しを立てるようにします。ポイントは、最終的に目の前の仕事を片付けられそうな日を決めて(最終ゴール)、そこから逆算して手順を決めていくことです。その際、それぞれのステップごとに、あたかもそれを体験したかのように書きます。例えば、「部屋の整理」であれば次のような具合です。
- 11/30(金) 部屋の整理が終わり、理想通りの快適な空間になった(最終ゴール)
- 11/29(木) もう一息で終わりそう。最初の段ボール作戦が効果的だったと思う
- 11/27(火) 段ボールに残った物を思い切って処分した
- 11/21(水) 最初は段ボールから物を出すのが面倒だったが、だんだん必要な物が揃ってきた
- 11/17(土) 机の上の物すべてをいったん段ボールに入れた。今後は必要になるたびに戻していこう
「ここでこういう状態になっているということは、その前にこうしておく必要があるはずだ」などと、最終結果から遡って、途中のプロセスを決めていくわけです。
こうすることで、手当たり次第に取り組んだものの、途中で無駄な作業であることに気づいて引き返すという手戻りを防ぐことができます。
何よりも、ステップごとにやるべきことが、すべて最終結果につながっていますから、安心して取り組むことができます。「今やっている作業が無駄になったらどうしよう」という迷いや不安から解放されるわけです。こうした迷いや不安は、現実逃避を誘発するのです。
また、「部屋の整理」という大きな仕事を小さなステップに分けることで取りかかりの“敷居”を下げることもできています。
「未来日記」をつける
こうして、各ステップを1つずつ確実にこなすことができれば、自然とやる気もわいてきます。逆にいえば、見通しのつかない状況では、なかなかやる気がわいてこないわけです。
この、ステップごとに手順を決めるやり方を、よりシステマティックに行うための「未来日記」という方法があります。
「未来日記」とは、文字通り「未来のことを日記につけること」です。先ほど「あたかもそれを体験したかのように」と書きましたが、未来のことをすでに起こったこととして書くことで次の2つの効果が得られます。
- 自然と未来の状況を想像するようになる
- 想像と現実のギャップを埋めるために必要な行動が思い浮かぶ
いずれも、見通しを立てる上で不可欠なものです。つまり、単に「見通しを立てよう」というだけではなかなか行動に移せないところを、「未来のことを体験したかのように日記に書こう」とすることで、ここでも行動の“敷居”を下げているのです。
なお、この「未来日記」を行うツールとしては、前回ご紹介した「Femo」が便利です。未来の「日付タグ」をつけて、その日の日記をそこに書いてしまうことで、実際にその日が来たときに、
「今日はこれをして、こういう結果が得られることになっているのか」
という見通しが得られるからです。そして、この見通しは、思いつきで立てたものではなく、最終結果から逆算して割り出したものですから、いっそう安心して取り組めるはずです。
「未来日記」を続けることによって、やる気というものはその日その日で気まぐれに発揮されるものではなく、予め計画的に発動されるものである、という認識に変わるでしょう。
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