桂小春団治流、初対面の人と打ちとける3つの糸口:「早起きは三文の得」実行委員が行く(2/2 ページ)
上方落語の桂小春団治(かつらこはるだんじ)師匠が講演会場を笑いで染めた。早朝イベント「朝EXPO in Marunouchi 2008 spring」最終日、4月25日の早朝だ。笑いをとりつつ「さすが話術のプロ!」と来場者をうならせた、小春団治流初対面の人との距離を縮めるコツや会話術とは。
糸口その2:下手なジョークが最も危険。自分から先に「緊張してます」アピールを
師匠にはちょっとした悩みがある。それは「どこに行っても絶対ウケるジョークを教えてください」と、よく人にリクエストされるからだ。「そんなんあったら私が教えてほしいくらい」(師匠)。
笑いのツボは人によって違うし、同じ人でもTPOや精神状態によっても違う。だから「絶対にウケるジョークはない」とキッパリ。世界的コメディアンでさえ、実はターゲットをかなり狭い範囲で絞り込んでいるくらいだという。
「下手なジョークがいちばん危険」と、師匠。凍てついた場の空気を元に戻そうと、滑った本人が挽回しようとしても、焦りのあまりさらに滑ってしまいがちだからだ。
このようにムリをして自分からジョークを飛ばすのは危険度が高い。初対面の場合はそれよりも、「『緊張しています』と、言葉を発することで相手の心をつかむほうがずっといいわけでございます」
というのは、『緊張してます』と、自分から先に緊張していることを言ってしまえば、同じように緊張していた相手の気持ちが「この人も緊張しているんだ」とほぐれて、和やかな雰囲気に持っていけるからだ。では和やかになった後は、どう話を弾ませればいいのだろう。
糸口その3:「もう、しゃーないなあ」。相手の好きな話題で心を奪う
「人は好きなもんには心奪われるもんでございます」。もし相手がゴルフ好きだと分かったら、ゴルフの話題を振るのは正しい選択だという。
ただし半端な知識でやみくもに話を振っても、相手にはすぐバレてしまうので要注意だ。そういうときは「石川遼くんってどうですかね」など、「もっと下世話な方向に話を持っていくこと」が大切。そうしないと専門的な話についていけなくなり、気まずくなるだけだ。
上方落語に『掛け取り』というものがある。借金取りに取り立てられた債務者が、借金取りを追い返すために一策を講じる話だ。債務者が川柳好きの借金取りに川柳を作って聞かせる。すると彼は気分をよくし、「もう、しゃーないなあ」と言って借金を帳消しにするというもの。
このように「そこまで言われたらしゃーないなあ」という言葉が、相手の口からポロッとこぼれたら“強い”という。せっかく相手の好きな話題を振るのなら、その話題をあらかじめリサーチしておくのも手かもしれない。
「あくまで状況にもよる」(師匠)が、あなたが営業職なら初対面の人と会う機会はほかの職種よりも多いだろう。3つの糸口から相手の心を手繰り寄せるのもアリだ。
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