アイデア手帳もアイデアも、1人ではいられない:2009手帳マッピング(2/2 ページ)
ひらりと飛んできたアイデアの“花びら”をひょいとつかむ。そのアイデアを手帳に書きとめ、“押し花”のように手帳に閉じる。そんな1人で使う手帳のほか、みんなで使う“手帳”もあるのだ。そんな手帳たちを紹介しよう。
アイデアを広げるためのもう1つのポイントは「サイズ」
手帳の開け閉めにはもう1つ別の意味がある。それは“胸を開く”こと。と言っても“フロントホック・ノート”などと目尻が下がる手帳はない。その発想がイケそうかどうか、誰かとアイデアを共有して、変えたり広げるするために“胸を開く”のである。
サイバーエージェントの藤田晋社長が、打ち合わせや業務指示をマルマンのスケッチブックに書くのは有名だ。それもちっぽけな大きさのものではなく、でっかいスケッチブックを脇に抱えて社内を歩く。そして自分のアイデアや討議事項をスケッチブックにあれこれ書き、「よしこれでいこう!」と決まれば、ビリッと破り“指示書”として置いてゆく。かっこいいなあ。
私は藤田社長よりずいぶんスケールダウンしたA5ノートを使うが、それに収まらないこともある。相棒であるCherryさんやYukaさんとイタリアン料理店で飲食していたとき、新事業のひらめきが訪れた。ワイガヤの議論はA5サイズに収まらず、お店のペーパー・テーブルマットに描かれた。
胸を開いてみんなで議論するためには、大きなサイズが欲しい。A5は2人で議論をするギリギリのサイズだ。開けばA4になるとはいえ、リングノートでは真ん中が分断される。仲間とアイデアを広げる時は、手帳のサイズが問題になるのだ。
1人の手帳からみんなの手帳へ
みんなで同じ手帳を使って「情報共有・アイデア拡張をしよう」という狙いがありそうなのが、社員の能力を結集したい「企業手帳」や「企業リフィル」である。ワタミの渡邉美樹社長がプロデュースした「夢に日付を! Date your dream」はその代表格。「仕事、家庭、健康、趣味、教養、財産」の6つの柱に沿って、夢と目標を描くものだ。
ただし、平社員から管理職、社長までこれを使うと、夢のサイズもレベルもバラバラなのが明白になりそう。“転職のきっかけ手帳”になっても私は一切の責任を負わないけれど。
こうした“みんな同じ手帳”の延長線上にあるのが、昨今企業への導入が進む情報共有ツールではないだろうか。SalesforceのようなSaaSや、サイボウズに代表されるようなグループウェアである。仕事上の活動を記録し、助言し合ったり、仕事のレベルを上げるのが狙い。気持ちを1つにするための手帳は電子化に向いているのかもしれない。
アイデアは1人ではいられない
仕事は1人ではできない。みんなが「おもしろいね!」と語り合い、1人のアイデアをみんなでカタチにするのが理想的。
パーソナルな紙の“1人の手帳”からアイデアをいかに広げるか。自分のアイデアの世界に入るインタフェース(手帳の開け閉め)も大切だが、みんなとアイデアを触発し合うインタフェース(胸を開くこと)が大切だ。アイデアは1人でいられないし、自分のリズムだけに心を奪われてはならない。みんなのチカラを求めてこそ人生が変わる。やっぱり手帳は人生哲学に通じる――のであった。
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