ポケットサイズ、フォーカス調整いらずの“次世代レーザープロジェクタ”:CEATEC JAPAN 2008
光源にレーザーを採用したプロジェクタは、ポケットサイズでフォーカスの調整も必要ない。CEATECで見かけた2つの試作機を紹介しよう。
重さが数百グラムの小型プロジェクタが増えてきた。携帯電話のような形状の独3Mの「Mini Beamer」や、米Dellが販売する手のひらサイズの「M109S」などだ。国内でも、海連の「X Pro920」や加賀コンポーネントの「KG-PL105S」など小型の製品が続々と発表されている。
これらのプロジェクタは、光源に高圧水銀ランプではなく、LEDを採用している。LEDプロジェクタは消費電力が低く、静音性が高く、ランプ寿命が長いといったメリットがあり、本体サイズも小型だ。これで輝度がもっと高くなれば完璧なのに……などと考えていた矢先に、CEATEC会場で“LEDプロジェクタを上回るかもしれない”「レーザープロジェクタ」を見かけた。
フォーカス調整の必要なし、色再現性も高いポケットサイズプロジェクタ
そのレーザープロジェクタは、米Microvisionの「Pico Projector SHOW」の試作機。赤/緑/青の3色のレーザーを、極小サイズのミラーに当てて反射させ、投影する。レーザープロジェクタは、光源ランプからの光を液晶パネルに透過させるLCDプロジェクタや、ミラーに反射した光をカラーホイールに当てて色付けするDLPプロジェクタと異なり、3色のレーザーを強度変調しプリズムで混色して色調を再現する。Pico Projector SHOWの色域はNTSC比で150%で、通常のLCDやDLPなどの方式に比べて色再現性も高いという。
レーザー光はレンズを通さず投影されるため、スクリーンとの距離を変えても常にピントが合っている状態で、フォーカスを調整する必要がない。凹凸がある壁や布などの平面以外に投影するような使い方もできる。
試作機の解像度は848×480ピクセルで、輝度は10ルーメン。電源はリチウムポリマーバッテリーで、1回の充電で約1.5時間の連続使用が可能だ。外部インタフェースはアナログRGB/コンポジット/S-ビデオ/USBで、USB経由の場合はバッテリー充電もできる。製品はスタンドアロンのモバイルプロジェクタとして発売するほか、携帯電話などに内蔵される予定だという。
“たばこの箱サイズ”の試作機は製品版では“マッチ箱サイズ”に
レーザープロジェクタやバーコードレーザースキャナに使われるMEMSミラー(極小の電子機械部品を用いた駆動ミラー)「エコスキャン」を開発する日本信号のブースでも、レーザープロジェクタの試作機を発見。こちらもたばこの箱ほどのサイズと小型だったが、製品化されるまでにはさらに小さくなり、マッチ箱程度の大きさになる予定だという。
小型、軽量、フォーカスフリーと非常に魅力的に思えるレーザープロジェクタだが、日本信号によれば、「コストなどの問題から、国内での発売は2010年頃。価格は同サイズのLEDプロジェクタと同じくらいになるのでは」とのことだった。近い将来、プロジェクタを自由に持ち運び、スクリーンのないところでどこでもプレゼンが始められる日が来るのかもしれない。
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