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“すごい”けどオレにはできないのだシゴトハッカーズ(2/2 ページ)

仕事術の本やライフハックのサイトを見て、「これ、すごいな!」と思ったものの、「でもオレには無理だな……」とあきらめてしまっていることはありませんか。

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同化と調節の中庸に自分の方法を見出す

 発達心理学に、「同化と調節」という概念があります。

 「同化」とは、道具を使う上で、黙っていても自分にしっくりくる側面。例えば、自動車のハンドルは、両手で扱いやすくできていて、操作に特別の訓練を必要としません。こういう使い方は「同化的」です。

 一方の「調節」とは、自分自身を道具に合わせて「調節する」こと。タッチタイプ技術の習得は、「調節」です。

 少し考えてみると分かりますが、100%の同化とか、100%の調節というのは存在しません。例えばテニスラケットを例に取りましょう。テニスラケットは、子供でも振り回せます。その意味で、テニスラケットを扱うのは「同化」ですが、プロのテニス選手のように扱うには「調節」が必要です。

 ですが、プロ選手といえど100%調節でラケットを扱うわけではありませんから、「自分に最適な道具を選ぶ」のです。つまり「同化的」な側面もあるわけです。そもそも、テニスをプレイするのにテニスラケットを使うこと自体、「同化」と言えます。

 今回の対談で述べていることは、「同化」の極端に走らず、「調節」の極端にも走らず、両者の中間で、うまくできることはやってしまおうという考え方です。

 実際、「同化」を極限まで詰めることで生産性を上げようとすると、思わぬお金がかかったり、手間がかかったりして、結局うまくいかないことが多いのです。PC画面の狭さに自分を「調節」するのがいやなので、トリプルディスプレイを用意するというのはかなり「同化的」です。お金も知識も必要です。

 一方で、とことん「調節」で突き進もうとするのも考えもので、キーピッチが狭すぎるモバイルPCなどを操作するため、特殊なキータッチの訓練をしようとすると、挫折したりします。

 お金や手間の面で無理がなく、努力の面で妥当な領域は、通常「同化と調節の中間」に存在するものです。まずはその領域を模索することが、快適なライフハックの中で、知的生産性を高める秘訣(ひけつ)なのです。

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