新しい挑戦には“恐怖”が伴うのだ:シゴトハッカーズ(3/3 ページ)
ついつい新しいことに挑戦できず、挑戦しない理由を考えてしまいませんか? その心理学的仕組みと、対策法を達人の2人が実体験から解説します。
新しい挑戦には恐怖が伴う
メジャーリーガーのイチローさんが、「200本打てないかもしれない」という思いが頭をよぎったときの「恐怖」について、NHKのインタビューで答えていました。彼が「不安」と言わず「恐怖」と言ったのに、注意をひかれました。
ベストセラー『脳が教える!1つの習慣』の筆者ロバート・マウラー氏が、「非凡な人ほど、ストレスや不安という言葉を使わず、『恐怖』という言葉を使う」と指摘していたことを思い出したのです。マウラー氏は、なぜ非凡人が「恐怖」という言葉を使うのかについて、それと闘う必要があることを知っているからだと指摘します。
それに対して多くの人、特に大人になると、自分がまともに生きている限り、「恐怖心が起こるようなことが、身の回りに起こってはならない」と考えます。だから、本当に感じているのは恐怖という強い感情であるときでも、何とかしてそれを抑え、「不安、憂うつ、神経症」といったもっともらしい言葉に置き換えてしまうのです。
新しいことに取り組めない。それは、こうした態度から生じる問題です。新しいことというのは大きな挑戦ですから、特に忙しい人の場合、そんなチャレンジに挑もうとすれば、恐怖心が生じるのが当然です。脳が恐怖を覚えるのです。
ですが、「まともに生きていれば、恐怖を覚えるようなことはめったに起きないはずだ」と信じている人は、そんな新しいチャレンジへの恐怖心を抑圧し、代わりに、「新しいことをしようと思ったのだが、ちゃんと続くかどうかが心配になって……」などと、本当の気持ちをわずかばかり偽ることで、恐怖に立ち向かう気力をも、スポイルしてしまうのです。
たとえ行き帰りの電車の中で、ちょっとだけ英語の勉強を始めてみる、という程度のことであっても、それまでの生活習慣に対する挑戦になるのですから、脳は恐怖を覚えるのです。変化を恐れるのは当然です。そうした「恐怖心」はあらかじめ、当然生じるものと心構えをしておくべきでしょう。それに加えて、具体的な準備もしておきます。
マウラー氏は新しいことを始めるに当たっては、
- やることを1つだけに絞る
- ほんのちょっとだけにする(英語の勉強なら、1日1分だけとか)
- 挫折しそうなときのために、もっと楽な代替えプランを用意しておく
とする必要があると言います。こんなふうでも、続けていくうちに、もっとやるだけの結果が出るやり方へと発展させることができるからです。逆に、始め無理をして挫折してしまうと、楽なプランすらきつくなります。
物事を始めるに当たっては、「恐怖心が生じる」ことをあらかじめ見積もっておく必要があるわけです。ほんのわずかで気楽にできそうだったとしても――です。
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