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第19回 「量感」を身につけるための“メンタルモデル”ってなんだ?:実践! 専門知識を教えてみよう(2/4 ページ)
サッカーのペナルティエリアの面積は何坪でしょう? すぐに分かる方、いますか。こうした「量感」を身に付けるために大切なことが、現実世界と表象と“メンタルモデル”の連携なのです。
表象操作だけができても意味はない
実はどうやらこの「現実・表象・メンタル」の3者連携がとれないまま、
- 表象操作能力だけを習得してしまっている子供が増えている
という気配があります。私自身は子供の教育には携わっていないのでその現場は見ていませんが、関係者から伝え聞く限り、唖然とするような事例がいくつもあります(参考書籍:『お母さんは勉強を教えないで―子どもの学習にいちばん大切なこと』見尾三保子著)。
その事例の一部が今回冒頭で紹介した「ペナルティエリア問題」や「150平方センチメートル問題」の正答率の低さです。特に「150平方センチメートル問題」のほうは、
- 「150平方センチメートル」 という表象と、現実世界との連携が切れている
ことの象徴的な事例です。この問題はいったいどのようにすれば解決できるのでしょうか?
エキサイトニュースの該当記事中にもあるように、「生活体験を充実させること」はおそらくひとつの有力な手段です。確かに現代の子供には「計算練習、ドリルなどに終始して、学習したことが生活とつながっていない」傾向があります。「1kgの重さは、水1リットルの重さであり、普段から家庭でのお手伝いなどをしていれば、自然と身に付くこと」であるというのも間違いないでしょう。
これらは、図1で言えば「表象」と「現実世界」のリンクを強化するために「現実世界」のほうの体験を増やすという方向です。
それは間違いなく大事なことなのできちんと進めるとして、実はもうひとつ手があります。今回私は「メンタルモデル」の側のトレーニングを行う簡単な方法も紹介しておきましょう。
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