やっぱり必要!? 「社内行事」事情を聞いてみた:「働きやすい」を形に イマドキの福利厚生(2/2 ページ)
バブル崩壊前に比べて個の比重が高まってきた今、再び社内行事が見直されているようです。そこで「イマドキ社内行事」事情を根掘り葉掘りとリサーチしてみると――「社内行事が必要」と答えた企業はなんと9割。その理由は?
迷いの一因となっているのが、参加費用の自己負担だ。好景気の頃は「全額会社負担」が一般的だったが、この頃は忘年会や新年会などでも、参加者が費用を「一部自己負担」することが増えている。
自己負担がある以上、「参加を強制できない」という現実につながる。加えてバブル崩壊以降、10年以上もの間続いてきた「プライベートの時間を大切にする」という風潮が、就業時間後や休日に行われる社内行事の場合、「参加人数が読めない」という、企業を悩ませる課題となっているようだ。
9割以上の企業が「社内行事は必要」と回答
Q3 社内行事は必要だと思いますか?
- 社員が自分のテリトリーに埋没してしまった、いわゆる「タコツボ」化した最近の会社の中では、「タコツボ」から引っ張り出すためのコミュニケーションが不可欠。社内行事は1つの解決策だと思いますが、100%社員が参加するわけにはいかないのが現状で、そこが悩み。
- 正直いって微妙。かつては社内交際費があり、“ノミ”ニケーションが盛んでしたが、今は個人負担が発生するので。雇用形態が複雑になり、給与体系に差があるため、個人負担があると温度差が……。
しかし、迷いを感じつつも、ほとんどの企業が「社内行事は必要」と回答している(Q3参照)。その理由は、やはりコミュニケーションの問題だ。プライベートと仕事をきっちりと分ける風潮が定着するにつれ、職場でのコミュニケーション不足が指摘されるようになってきた。「仕事だけの付き合い」では深い人間関係が築けず、その結果、仕事にも影響を及ぼしていると、多くの企業が危機感を覚えているのだ。
とはいえ、社員が「参加したい」と思う社内行事を行うには、魅力ある行事を企画することが不可欠だ。実際、さまざまな企業がユニークな社内行事を行っている(Q4参照)。
Q4 自社、他社の「おもしろい」と思った社内行事は?
- オフィスの誕生日会、社員の誕生日会。
- 勉強会の一環として、各種見学会を実施。「巨大構造物を見る」をテーマに「首都圏外郭放水路」や「飛行機整備場」などに行きました。
- ワイン好きの取締役がいるので、ボジョレーヌーボーの会を開催。
- 家で使わなくなった本やCDを寄付してもらい、環境NPOに寄付しました。
- 豆まき。豆の入った袋に小銭が入っているので、みんなが拾ってくれて掃除の手間も省けます・60歳以上の社員を集めて行く「パラダイス旅行」。参加者は旅行中、「若者に負けない施策」を議論しています。
- 営業目標達成時には、石垣・西表島へ。マングローブを見にいく旅行を実施。
- 日頃の運動不足解消のため、年2回、会社の沿線でオリエンテーリング・ウオーキングを実施。また、CSRを兼ねて沿線のゴミ拾い活動を行っています。
- 昨年の内定式は全社員と内定者が参加して、大運動会形式で行いました。
- 良いプロジェクトや良い行動を評価して、プロジェクト表彰をしています。
- 年に1度、取引先をご招待してのパーティーを開催。
例えば、いわゆる「飲み会」の場合、「ボジョレーヌーボーの会」などテーマを設けると、ガラリと印象が変わり、興味も増す。また、「初詣で」や「豆まき」「お花見」「暑気払い」「夏祭り」など、季節感のあるイベントを企画するのも楽しそうだ。
さらに、「内定式を大運動会形式に」というように、セレモニーとレクリエーションを合体させた企業もある。また、ある精密機器メーカーでは、スキルとノウハウ、設備を生かしてロボットや万華鏡、長距離紙飛行機などを作るイベントを行っている。
さまざまな企業の事例を見てきたところで……。次回は「社内行事を成功に導く法則」を探ってみよう。
『月刊総務』2008年5月号 「イマドキ『社内行事』事情」より
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