「京セラドーム貸し切り」で運動会を本格演出――村田製作所:「働きやすい」を形に イマドキの福利厚生(2/2 ページ)
社内コミュニケーションが薄れている。そう危機感を持った村田製作所は、18年ぶりに社内運動会を京セラドームで再開。その効果は?
村田製作所、18年ぶりの運動会「ムラリンピック」を実施
2007年12月2日、日曜日。京セラドーム大阪にて、運動会『ムラリンピック』を開催した村田製作所本社(京都府長岡京市)。18年ぶりの運動会とあって、イベントの企画や運営ノウハウ不足の不安から、スポーツビズのコンテンツプロデュースのもと開催することになった。
キーワードは「参加者みんなが楽しめる」
かつてはよく運動会を開催していた村田製作所だが、「会社も大きくなり、仕事とプライベートを分けるという時代の流れにもそぐわなくなって開催を見合わせていました」(村田製作所 広報部企業広報課)
運動会再開の背景には、「社員同士のコミュニケーションが薄くなっている」という危機感があった。運動会は人事部主催で、実行委員は立候補と、上司から推薦された24人に決まった。1200人もの本社社員がいることを考えると、24人は決して多いとはいえない人数だ。
「運動能力が求められる種目ばかりだと楽しめないので、長縄跳びや綱引き、玉入れ、大玉ころがしなど、『みんなでやる』種目を取り入れました。もし、自社の実行委員だけで準備をしていたら、『大玉ころがしの玉って、どうやって準備するの?』と、壁にぶつかっていましたから、プロのサポートは本当に助かりました」と、運動会の実行委員は言う。
準備期間の半年で、結束を固めた実行委員
「準備期間は半年間。打ち合わせ以外にも、自宅に宿題として持ち帰ったり……。また、委員以外の社員が準備を手伝うこともありました」(村田製作所広報部)。準備期間中、実行委員、全体の打ち合わせは、計8回(1回約2時間)行われた。それ以外にもワーキンググループごとの打ち合わせもあったという。
「そのかいあって当日は盛り上がり、社員と家族、合わせて800人ほどが参加しました。上司と部下が一緒にムカデ競走をしている様子はほほえましかったですよ。普段は厳しい上司が、子供と話すときは優しい表情をしているのを見て、上司に対する見方が変わった、という社員もいます」
運動会以降、社内に変化はあったのだろうか?
「社員数が多いこともあって、残念ながら、目立った変化は多くありません。でも『運動会で親しくなったおかげで、仕事のことも部署を超えて気軽に相談できるようになった』という社員もいます。特に、実行委員は本当に結束が固まって『もう一度、運動会をやるなら、同じメンバーでないと嫌だ』というほど、よいチームワークが築けたようです」
第5の鍵 サプライズを用意、無限のアイデアを実現
スポーツビズでは、運動会以外でもさまざまなスポーツ関係のイベントを手掛けているそう。
「例えば全国に支社や事業所のある企業ならば、事業所ごとにトーナメント形式でフットサルの試合をする。当社が元Jリーガーを助っ人としてキャスティングして、助っ人投入権を争うサプライズも可能です。また、グアムに保養所のある企業の例では、保養所でスポーツクリニックを実施しました。現地でゴルフやボウリングの元プロのコーチを受けられるという企画で、大好評でしたよ」
アイデアは無限である。企業規模の大小にかかわらず、まずは「何ができるか?」を相談してみるのもよさそうだ。
とはいえ、社内行事が盛んだったころは、ほとんどが正社員で終身雇用制度が守られていた時代。当時と今では状況が全く違うのだ。「社内行事を成功させる5つの鍵」を参考に、ぜひ「楽しめる」社内行事を実現させてほしい。
『月刊総務』2008年5月号 「イマドキ『社内行事』事情」より
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