どう入手する? 病院にないジェネリック薬:現役医師がズバリ回答
ジェネリックではない薬と比べて経済的なジェネリック医薬品。もし診てもらった病院で扱っていない場合、どうしたら入手できるでしょうか?
お元気ですか? 外科系女医の仁科桜子(にしな・さくらこ)です。前回は病院では本当にジェネリック薬を処方してくれるか、という患者さんのお悩みに対し、病院の薬事情を交えてお答えしました。さて今回の質問は?
質問7:希望のジェネリック薬を扱っていない場合はどうしたらいいですか?
診てもらった病院で、好みのジェネリック薬を取り扱っていなかった場合は、どうしたらいいですか?
ご質問、ありがとうございます。患者さんがジェネリックに関して、医師に気軽に質問したり、要望を言ってもなんの問題もない、というのは前回お伝えしましたよね。テレビCMでは「勇気を持ってジェネリックにしてくださいと言ってみよう」と言っているけど、勇気なんて要らないわけです。
ただし、ご質問にもあるように、医師の意思とは無関係に、その病院には違う会社の薬しか納入されていないことがあります。でも大丈夫。この場合には、医師に院外処方せんを書いてもらう方法があります。この処方せんを持って、患者さんがご自分でその薬が置いてある薬局に行けばいいんです。患者さんはちょっと面倒だけどね。その辺りは、患者さんのこだわりとか時間の余裕次第かな。
最近はどんどん新しいジェネリックが出てくるので、医師がすべてのメーカーの薬や薬価を把握しているとは限りません。同じ作用の薬なら、患者さんのお好みを言ってもらった方がありがたかったりします。服用するのもお金を払うのも患者さん自身なんだから、どんどん希望は言ったほうがいいですよ。医師も可能な範囲で対応すると思います。
後は、「かかりつけ医」の質問の時お話したように、顔なじみの患者さんだと「あー、この人はこういう薬がいいんだったわ」と医師も覚えているので、言わなくても好みの薬が出てくるというメリットもあるかも。結局のところ、やや陳腐に思われてしまうかもしれないけど、医師と患者の信頼関係が一番大切なんですね。
とはいえ、世間はいまだに「製薬会社と医者は癒着(ゆちゃく)してる」というダークなイメージを捨てきれないみたい。『水戸黄門』じゃないんだから、「先生、ここはひとつお願いしますよ」→何か箱みたいなのを開ける→パカッ→小判がザックザク→「お主も悪やのう」――みたいな展開があるわけないじゃないか。医師は悪徳代官ではないし、そもそもそんなお金が入ってきてれば、もっといい生活しているよ! 上層部のことは知らないけど、癒着のあるなしを知る機会が持てるほど私は偉くなれるかなあ……。
そういえば、拙著『病院はもうご臨終です』に対していただいた書評の中で、「この人、普段患者さんに余計なこと言ってそう(笑)」と分析してくださっているのを目撃しましたが(書評どうもありがとうございます!)、こういうコラムを読んでいるとそう思っちゃうだろうなあ。普段はちゃんと医師やっております、はい。
とにかく、ジェネリック薬は患者さんのメリットになるのだから活用しなきゃ損ということは事実。かなり薬にお金がかかっている人は、さっそく飲んでいる薬の薬価を調べてみましょう。最近は薬価を詳しく教えてくれる親切な薬局も増えているみたい。家計のためにも、削減できるところはしないとね。
次回の質問に続く――。
本日の処方せん
- 希望の薬が病院にない場合、院外処方せんを書いてもらう手も。
- 経済的なジェネリック薬の要望は、積極的に医師に伝えること。
仁科桜子(ドクトル・ピノコ)プロフィール
女医。 医大生時代には体育会に属しつつ、某社キャンペーンガールや大手塾講師など数々のバイトをこなす日々を過ごす。 現在は、酒と体力だけには自信アリの外科系ドクターとして病院勤務。
ドクトル・ピノコ名義で「週刊ビジスタニュース」などにコラムを執筆している。2009年1月、仁科桜子(にしな・さくらこ)名義で『病院はもうご臨終です』(ソフトバンク新書)を発売した。
関連記事
- ドクトル・ピノコのプチ元気の薬
- 頼めばジェネリック薬を処方してくれますか?
同じ薬ならなるべく安いジェネリック薬を処方してもらいたい。ただ病院側でもメーカーが決まっていそうで、どうも言い出しづらいんですが……。そんな患者さんの声に、仁科桜子医師がお答えします。 - 症状はどう説明すれば伝わりますか?
緊張や熱で頭が回らなくなり、病気の症状をうまく説明できなかった経験はありませんか? 仁科桜子が「これさえ言えれば大丈夫」という必須項目4つについてお答えします。 - 正しい治療法って1つじゃないんですか?
なぜ複数の医師に意見を聞いた方がいいんですか? 治療法って1つじゃないんですか――? 前回に引き続き、セカンドオピニオンへの疑問に仁科桜子医師がお答えします。 - セカンドオピニオンって聞いてもいいんですか?
セカンドオピニオンって最初の医師が気を悪くしませんか? うまく切り出すコツは――? セカンドオピニオンに関する素朴な疑問に、仁科桜子医師がズバリお答えします。 - 質問1 かかりつけ医って必要ですか?
医師不足! 病院倒産! 医療崩壊! といった報道が後を絶たない今、どう病院と向き合えばいいか分からない――。こうした不安を軽減するため、患者からの素朴な疑問に、現役医師ドクトル・ピノコが医療現場のリアルな目線でお答えします! 全10回連載スタート。 - インフルエンザの流行具合がひと目で分かるサイト
地震も恐いですが、このシーズン、もっとも身近な脅威はインフルエンザです。ちょっとした心の安定剤、もしくは予防手段を講じるキッカケになりそうなのが、国立感染症研究所の「インフルエンザ流行レベルマップ」なのでした。 - 【番外編】「新型インフルエンザ」今できる対策は?
潜伏期間も死亡率も分からない、未知数だらけのH5N1型ウイルス。新型インフルエンザに対して、今個人ができる対策は? - 予防接種なしで済ませる、4つのインフルエンザ予防策
多忙な師走。病院で予防接種ワクチンを打ってもらう暇はない。そんなビジネスパーソンに、医師要らずのインフルエンザ予防策を4つ紹介しよう。 - インフルをインフルと見抜けないと(年末を乗り切るのは)難しい
12月の総務特集は「医師要らずでできるインフルエンザ対策」。そもそもインフルエンザと風邪の違いって? 予防するにはどんなことに気をつければいいの? 個人でできる感染予防策と、企業が取るべき対策を見ていこう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.