怪談がうまい人は説明もうまい:人を動かす話し方講座(1/2 ページ)
暑い季節を迎えると登場するのが、怖い話。今回は怖い話を例に、人を自分の話に感情移入させるようなトークの方法を紹介します。
これから暑い季節を迎えると登場するのが、怖い話。ひょっとするとあなたも人に話せるような恐怖体験があるでしょう。そこで今回は、怖い話をどうやって相手に感情移入させるかということを学びつつ、人を自分の話に感情移入させるようなトークの方法について考えてみましょう。
テクニック:感情ではなく五感の事実を語れ
怖い話をするときに、多くの人がやってしまう間違いがあります。それは「自分が怖かった、驚いた、ということを、一生懸命語ってしまう」ということ。しかしこの話し方は、百害あって一利なし、なんですよね。
例えば、10代の若者によくある話し方ですが、
「この間夜歩いてたらさあ、変な男に付けられてさあ、ガァーッと走ってきてさあ、もうチョービビッてたらさあ、そしたらワッとか抱きついてきて、すごくやばいと思ってギャーって叫ぼうと思ったけど、バッと手で口押さえられちゃってさ、そん時指をガッとかんでバッと突き飛ばして逃げたけどもうチョー怖かったあ!」
といった話をされたとしても、ちっとも怖くないですよね。
いくら擬音を駆使し、かつ感情表現に「チョー」をくっつけて話をしたとしても、聴いている方は、チョーびっくりもしないし、チョー怖くもないわけです。
ではどうしたらいいか。怖い話をするときの一番のポイントは、
- 感情表現をなるべくせずに事実を詳細に語る
ということなんですね。さらに言うなら、
- 事実を詳細に語る際には、五感に訴えよ
ということが重要なのです。
そのとき、何を見たのか、聴いたのか、感触やニオイ、味など、とにかく五感で感じたことを詳細に表現することが、恐怖を演出するポイントなのです。
また自分の話を怖がってもらうためには、もう1つ重要なことがあります。それは、
- 時間の流れに沿って、五感に訴えるように話す
というもの。特に怖い話の王道パターンは、
- 時間の経過に伴い、距離感を近づけていくように話す
というものなんですよね。
この距離感は、遠くにいた人が近くに寄ってくるといったような「物理的な距離を縮める表現」と、昔起きた事件が、今再び起ころうとするといったような、「時間的な距離を縮める表現」があります。
是非、怖い話に触れたときは、上に書いた観点からその話を分析してみてください。
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