もう一度、メール返信の基礎を見直そう:あなたの不安、見積もります
現代のビジネスパーソンにとって、メールは相当にやっかいなツールになっています。メール返信の不安に押しつぶされないためにも、もう一度基礎を見直してみてはいかがでしょう。
メールの返信を先送りしてしまう、という話をよく聞きます。拙著への感想を読んだり、セミナーでの質問を受けたときに思うのは、「現代のビジネスパーソンにとって、メールは相当にやっかいなツールになっている」ということです。
ビジネスパーソンの不安ポイント
なぜかメールを返信するのがためらわれて、先送りにしてしまうことがあります。どうして不安を抱いているのか、具体的にどんな不安なのか、と問われると困るのですが……。
まず、「不安」というのは、近い将来に悪いことが起こりそうな予感があるから、それを未然に防ごうとするために生じる感情です。この場合、「こんなメールの返信をすると、悪く思われるかもしれない」という予感があるから、不安になっているのです。ということは、不安になるのが自然であって、そういう感情を感じられるということはむしろ正常なのです。
メールを返信する場合には、書き方がなっていないとか、返事をしてくるのが遅すぎるとか、聞かれたことに答えていないとか、うっかりミスがあるかもしれないなど、「指摘される可能性」はけっこうたくさんあるものです。こうした不安を、完全にゼロにすることはできません。
しかし、次の方針を守っていれば、低く抑えておくことはできます。
- メールをためない
- 一時に対処するメールの数を事前に決める
- テンプレートを作る
これらのライフハックが、あまりに単純で、すでに方々で言われ尽くされていることは知っています。それでも、多くの人にとってはこれらが有効打になるのです。第一に、メールがたまればたまるほど、色々な意味で注意力が必要になり、何かをミスする危険性が高まります。だから、メールがたまってしまうのを極力許さないことです。
とはいえ、現実にはメールがたくさんやってきますから、メールに対処する数を事前に決めてから、返信を始めるようにしましょう。1日3回なら3回、5回なら5回。回数を決めて、その対処時間には、事前に決めた数以上のメールに対処しないことです。1日中断続的にメールを処理していると、断続的に先送りしてしまうようになりがちです。その結果、1日中メール処理しているのに、メールがどんどんたまってしまうのです。
もうひとつ、メール処理をしやすくするために必要なのが、テンプレートです。「作らなければ」と思っているだけではいけません。今すぐにでも、作るべきです。3通り必要なら、3通り作りましょう。そして必ず使うことです。たとえ、冒頭に「日付」と「お世話になっています」だけが書いてあるものでもいいから、用意しましょう。それだけで、返信に必要な記憶が誘発されるからです。
メール処理に関しては、過去に「読むなら返す」の原則や、Gmailで「昨日のメール」だけを処理する方法などを紹介しています。あわせて参考にしてみてください。
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筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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