6つの力が身に付く「図解思考」って?:世の中「四角形と矢印」でできている(3/3 ページ)
わたしたちは情報をインプットして、理解し、記憶するときには必ず「絵」にしています。本連載では入ってきた情報を整理・分析し、他人に分かりやすく伝える技術「図解通訳」をお教えします。
複雑に見えても、「四角形と矢印」でできている
複雑な業務フロー、複雑な業界の勢力図、複雑な仕組み……。みなさんは日常的に「複雑な何か」を見て、それを一生懸命理解しようと努めているのではないでしょうか。しかし、複雑だと思っている間には、その根本的な問題は把握できないのが常です。どんな複雑な問題であっても、その根っこはシンプルです。問題がシンプルであることに気づけば、答えもおのずと見つけ出すことができるでしょう。
図解も同様です。一見すると複雑に見える図式も、ミクロ的に見るとその最小単位は「四角形と矢印」という基本パターンの繰り返しであることが分かります。つまり、どんなものでも分解すれば各々の要素はシンプルなのです。
聴きながら図解でもメモをとる「図解通訳」とは?
ところで、みなさんは外国語の同時通訳を見たことがありますか? 聴いた言葉を、端から別の言語に翻訳していくスキルには脱帽するばかりです。
しかしよく聴いていると、聴いた言葉をそのまま機械的に訳しているわけではないことがわかります。同時通訳者は、スピーカーがしゃべるテーマや周辺情報をあらかじめ理解していて、聴いたキーワードをもとに、予測される内容を頭に思い浮かべながら、最終的にスピーカーの伝えたかった内容を端的に、短い言葉で訳しているのです。
図解通訳のプロセスも外国語の同時通訳と同じです。その日に話されるテーマやキーワード、項目などを事前に予測し、ヒアリングしながら構造を理解する。そして、ある程度情報がまとまったところで、1つの塊として絵に落とし込んでいく……。
このように「内容を予測し、聴き、理解しながら、リアルタイムで図式化するスキル」を、ここでは「図解通訳」と呼んでいます。
勉強熱心な人に限って、知識としてスキルを知っても、それを実践したり、習慣化する人は多くありません。しかし、『頭がよくなる「図解思考」の技術』で紹介しているテクニックは、簡単に学べるだけでなく、一生使える習慣性の高いものです。2年間という月日と多額の費用をかけてMBAを取得する必要も、目を凝らしながら速読の練習をする必要もないのです。世の中で身につけるべきビジネスノウハウやスキルの中でも、もっとも簡単に、成果を上げることのできる費用対効果の高いスキルだといえるでしょう。
次回は基本パターンによる、「図解メモ」の取り方についてご紹介していきます。
著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
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