こんな人なら節税できる(後編):個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」(2/3 ページ)
個人事業主もサラリーマンも、知っておいて損はない「税」の話。今回は節税をテーマにした後編として「医療控除」「住宅ローン減税」「子供手当」などについて考えてみたい。
住宅ローン減税(控除)
税制は毎年大なり小なりの変更がある。2009年(平成21年)で大きいのは住宅ローン減税(住宅ローン控除)だろう。住宅ローンのノウハウだけで1冊の本になるほど奥が深いので概要にとどめるが、昨年と今年は過去最高の住宅ローン減税が実施され、“買い”の時期なのだ。
一般住宅で言うと、昨年または今年に入居した場合で、控除期間10年、ローンの年末残高限度額5000万円、控除率1%、控除可能額50万円(年額)、最大控除可能額500万円(10年間累計)となっている。加えて所得税から控除しきれない金額のうち、一定額を住民税から控除できるという内容だ。
ちなみに、その1年前の2008年の場合は控除期間が10年と15年の選択があるが、10年の場合、ローンの年末残高限度額2000万円、控除率1〜6年目1%、7〜10年目0.5%、控除可能額20万円(年額)、最大控除可能額160万円(10年間累計)だ。
住宅ローン減税は課税所得の控除ではなく、税額がそのまま控除される。実際に例をあげて計算してみよう。
最大控除額の500万円をゲットするには10年後のローン残高が5000万円となるので、購入段階では7000万円級のローンを組むことになる。7000万円のローンを組むには年収1500万円以上と、普通のサラリーマンには縁遠い話になるので、ここでは4000万円のローンを35年返済、変動金利1.2%としてシミュレーションしてみた。年末残高が同じになるように2009年1月から返済を開始した場合と、2008年1月から返済を開始した場合の税制による差を比較している。
以下の表は、左から年末のローン残高、2009年に入居した場合の各年の控除額、2008年に入居した場合の控除額の計算値(控除率1〜6年目1%、7〜10年目0.5%)、2008年に入居した場合の実際の控除額(上限値を越えているため限度額)。元データは1円単位まで計算しているが、ここでは単位は万円とした。
年次 | ローン残高 | 2009年控除額 | 2008年計算値 | 2008年控除額 |
---|---|---|---|---|
1年目 | 3,907 | 39 | 39 | 20 |
2年目 | 3,814 | 38 | 38 | 20 |
3年目 | 3,719 | 37 | 37 | 20 |
4年目 | 3,623 | 36 | 36 | 20 |
5年目 | 3,526 | 35 | 35 | 20 |
6年目 | 3,428 | 34 | 34 | 20 |
7年目 | 3,328 | 33 | 17 | 10 |
8年目 | 3,228 | 32 | 16 | 10 |
9年目 | 3,126 | 31 | 16 | 10 |
10年目 | 3,023 | 30 | 15 | 10 |
累計控除額 | − | 347 | 284 | 160 |
同じ4000万円のローンでも2009年に入居した人は347万円の減税となるが、2008年に入居した人は160万円しか減税されない。その差は187万円と、車が買えそうなほどの違いがある。入居が2008年の年末と2009年の年始のわずか数週間でも、10年間でこれだけの差になるわけだ。
課税所得が410万円、所得税が39万2500円の人なら、ここからマイナス39万円して1年目の所得税は2500円となる。もし3年目に医療控除等で所得税が30万円になったとしても、所得税が全額の30万円、超過した分は住民税から7万円が控除される仕組みだ。
本来は2008年末で住宅ローン減税は廃止になるはずだったが、2008年の夏に5年間の延長と過去最大規模というニュースが流れたことを覚えている。筆者は2008年の夏に車を買った。営業マンがマンションを購入するというので「来年入居なら過去最大のローン減税が受けられる」と話した記憶がある。2008年の11〜12月に入居するなら、1〜2カ月アパート代を払って1月に入居すれば、減税という大きな恩恵があったはずだ。個人事業主もサラリーマンも、税に関しては、知っていると得することは多々あると思われる。
今回の住宅ローン減税はローン残高限度額が2011年以降1000万円ずつ引き下げられ、2013年には2000万円となる。これから家を買おうと思っている人は、詳細を調べて検討した方がいいだろう。
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