交際費? 会議費? 「経費で節税」のポイントを押さえよう:個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」(2/3 ページ)
個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」。今回は「経費計上」「固定資産の減価償却」による節税がテーマだ。
「固定資産の減価償却」で節税
今年は儲かったから、節税のために何か購入しようと思って、1000円、2000円のものをいくつか購入しても、劇的に節税できるわけではない。「じゃあ車でも買い替えて、一気に300万円……」と言いたいところだが、そんなに税金は甘くない。耐用年数が1年未満、または取得価額が10万円未満の資産はその年の経費にできるが、それ以上のものは固定資産となる。
例えば建物、車のように、長期にわたって使用するものは、年々価値が減少し、耐用年数を経過したころには使えなくなっていたりする。これらの資産を購入した場合、購入した年の経費としてではなく、数年にわたって分割して経費とするのが固定資産の減価償却だ。資産ごとに耐用年数が決められていて、鉄筋コンクリートの事務所は50年、車は6年、軽自動車は4年、テレビは5年、PCは4年、カメラは5年などとなっている。
例えば240万円の車を買った場合、6年で償却すると1年で経費となるのは6分の1の40万円だ。しかも、購入した年は月割りになるので、年末にあわてて買っても12月納車なら、その年の経費になるのは40万円の12分の1、3万3000円だけだ。細かなことを言えば、月初に納車されても月末に納車されても同じ月として計算される。1月末納車なら1年分が経費となるが、2月頭の納車だと11カ月分となるので、月末納車は多少節税効果がある。ディーラーの営業マンなら個人事業主や経営者に販売したときに、そんなことを少し頭に入れておいた方がいいかもしれない。
では、一気に経費を増やして節税する手はないのかというと、減価償却には特例がある。10万円以上20万円未満の資産は一括償却資産として3年間で償却できる。一括と聞くと1年で一気に償却できそうなイメージがしてまぎらわしいが、気にしないことだ。10万円以上30万円未満の資産は「少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(措置法28の2)」により、その年に全額経費として処理することもできる。
例えば18万円のデジタル一眼レフカメラを購入した場合、一括償却資産としてその年に6万円、翌年、翌々年も6万円ずつ償却できる。この場合は12月に購入しても月割りする必要はなく、6万円が経費となる。措置法28の2の場合は18万円をその年の経費として償却することが可能だ。これなら、そこそこの節税になるだろう。
ちなみに「少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(措置法28の2)」は、平成20年3月31日までの取得が条件だったが、平成22年3月31日まで延長されている。何度も延長されているので、また2年延長されるのではないだろうか。というか延長してほしい。
サラリーマンにとって、固定資産や減価償却は自分の税金には関係ないが、会社の税金として考えると少しくらいは接点があるだろう。筆者はIT業界に入る前、数百〜数千万円の計測機の営業をしていた。中小企業の社長に売り込む機会も多かったのだが、固定資産や減価償却の知識があれば、もっと違った提案ができたのではと今頃になって思っている。
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