振り込め詐欺を予防する簡単かつ意外な方法:防災・防犯ラボ(2/2 ページ)
身内の不祥事をお金で解決するとしたら、あなたはいくらまでなら払いますか? 振り込め詐欺に遭う人は、どのような手口で詐欺師にだまされるのか、専門家に話を聞いてきました。
名簿ビジネスと無縁ではいられない
ところで、詐欺師はどうやってターゲットの情報を集めてくるのでしょう?
分かりやすいところだと、いわゆる名簿リストと電話帳があるのだそうです。妊婦に赤ちゃん用品店からDMが届いたり、保育園の卒園前年にランドセルの案内がタイミング良く届きますよね。アレです。名簿売買は1つのビジネスとして確立していますが、当然詐欺師も利用しています。ちなみに、高値で取引されるリストは医者と教師だとのこと。身分がしっかりしていて、経済的にも安定している職種は詐欺師も狙っているというわけです。
佐伯さん自身は、自衛策としてなるべくお店などでは会員カードを作らず、Webサービスに入力する個人情報も最低限に留めているそうです。たとえその企業が信用できる大手であっても、情報管理対策がバッチリだとしても、社員がお小遣い稼ぎでリストを売ることは珍しくありません。
私たちは、氏名やメールアドレスなどの個人情報を完全に隠すことはできませんし、むしろそうした情報をあえてオープンにすることで受けられる利便性の高いサービスもあります。よって少なくともこれ以上自らの手で自分の情報をバラまかないよう意識するとともに、ある程度は割り切って情報が悪用されないように登録先を見極めることが大切になりそうです。
また、古典的ですが電話帳も個人情報収集ツールに成り得ます。電話帳に番号を掲載している時点で警戒心が薄い証拠と見られますし、より確実にお年寄りを狙うという意味で「ヨネ」「スケ」「トメ」といった典型的な老人の名前は拾われやすいのだそうです。
被害に遭ったことを、誰にも言えない人たちがいる
以前と比べて振り込め系は随分と減っているような気がしますが、実際はどうなのでしょう。
警察庁のデータを調べたところ、平成20年の2万481件をピークに減少傾向にあります。以降、平成21年が7340件、平成22年が6637件、そして平成23年が10月末時点で5220件なので、ピーク時の約3分の1前後まで減ってはいます。しかし、いまだに100億円近い被害額が発生しているのも事実で、まだ詐欺師にだまされされる人たちがいるということです。
ところが、佐伯さんは「さらに怖いのは、表面化する事件は氷山の一角にすぎない」という空恐ろしいことを言っていました。つまり、だまされて被害に遭ったにもかかわらず、警察に被害届を出さないケースが少なくないようなのです。事件の特性上「恥ずかしい、みっともない」という心理が働くと同時に「家族にも打ち明けられない」と1人で抱えてしまうわけです。
「コツコツ貯めた虎の子の貯蓄を、根こそぎ取られた自分は何てバカなんだ」
「せっかくの退職金をだまし取られたなんて、口が裂けても告白できない」
「もう(振り込め詐欺は)下火になったにもかかわらずだまされるなんて、家族にあわせる顔がない」
と、被害を墓場まで持っていこうとする方もいるそうです。これは、もはや悲劇ともいえます。
自衛方法は? 何に注意すべき?
最後に、以上を踏まえてだまされないためには何に注意すればいいのか?
日ごろからやっておくとよいことは、意外にも「家族間のコミュニケーションを密にしておく」ことなのだそうです。別にキレイ事を言っているのではなく、実際に効果があると佐伯さんは言います「普段から夫婦(親子など)の話し合いが活発だと、妙な電話がかかってきたときに『何か変だぞ』と感じ取れます。変な話ですが、会話が豊富な夫婦はだまされにくく、そうでない夫婦はだまされやすいものです」(佐伯さん)
同居していればコミュニケーションは意図的に増やせますが、実家の両親のように離れて暮らす場合には、親(祖父母)に電話するのも効果的。小まめに連絡を取り合うのが面倒ならば、単刀直入にバシッと「振り込め詐欺の話なんだけどさ」と切りだすといいそうです。
「もし怪しい奴から電話があったり、訪問してきたら、平日の昼間でも構わないから電話ちょうだい」
「最近こういう事件が増えているらしいから、気を付けてね」
などと伝えておくのも手です。もうすぐ年末ですし、帰省したらそんな会話をしてみると良いのではないでしょうか。こうしたちょっとしたコミュニケーションのひと手間が、運命の分かれ道になったりするものですよね。
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息子や孫を装うだけでなく、警察官、銀行員を装うケースもあるそうです
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せんえつながら私の過去記事です。さまざまな想定外の出来事を夫婦で話し合う癖を付けることで、緊急時の耐性が付きます
著者紹介:中山順司(なかやま・じゅんじ)
シックス・アパート株式会社 / スキナヒト製作所 所長。1971年生まれ。Covenant College(米国)卒業後、携帯電話キャリアでマーケティングと営業に携わり、2000年にネット業界に転身。旅行予約サイト(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに(現職)。
2010年12月、フツーの男女のフツーの出会いをプロデュースすることに特化した、世界一マジメな恋愛インキュベーション・プロジェクト「スキナヒト製作所(β)」を設立。
- 連絡先: jnakayama@sukinahito.jp
- Webサイト: スキナヒト製作所
- 誠ブログ: 20年前の留学を、淡々と振り返る記録
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