不安や悩みを相談できない――そんな人にオススメの方法:新連載・ボクの不安が「働く力」に変わるとき(3/3 ページ)
職場の人間関係に悩んだり、過大な目標に悲鳴を上げている人も多いのでは。「悩みや不安は人に相談したほうがいい」といった声をよく聞くが、そもそも相談するのが苦手な人はどうすればいいのか。そんな人に「ココロの整理の仕方」を紹介する。
ネガティブな気持ちの裏側にあるポジティブな気持ちに気づく
続いて、書き出す方法を紹介しましょう。
私たちが日常抱く不安や悩み、違和感といった感情は、表面的に見るとネガティブに見えますが、実は、その裏側にはポジティブな意味が隠されていることをご存じでしょうか? ポジティブな意味があることが分かると、気持ちがフッと軽くなることがあります。
不安や悩み、違和感の裏にあるポジティブな意味を引っ張り出すのに便利な問いはコレです。
「何が、私にそう思わせるのだろう?」
具体的な例でお話しましょう。私は以前、私より立場が上のKさんと一緒に働いていました。Kさんは「声が大きいタイプ」で、誰かが仕事でミスをしたときは、周り人にみせしめるように叱るような人でした。仕事のさまざまシーンで威圧的なので、私はKさんと廊下ですれ違うことも嫌で、ストレスを感じるようになっていました。
そこで、私は考えてみました。「Kさんを見ると、何が、私に嫌だと思わせるんだろう?」と。当然ながら、最初は「威圧的だから」という答えが浮かんできました。この答えに対し、続けて同じ質問を繰り返します。「威圧的なことで、何が、私に嫌だと思わせるんだろう?」。この問いには「いつも自分の考えを押し付けるだけで、私の話を聞こうとしてくれないから」という答えが。この答えに対し、さらに同じ質問を繰り返します。「話を聞いてくれないことで、何が、私に嫌だと思わせるんだろう?」。しばらくすると「本当は、チーム一丸となって楽しく仕事がしたいのに、Kさんは私の話を聞こうとしないから」という答えが浮かんできました。
ここで私は気がつきました。「あっ、そうか! ボクはチーム一丸となって楽しく仕事がしたかったんだ!」と。私の中にあったポジティブな気持ちに気づいたとき、私の気持ちはフッと軽くなったのです。
このようなココロの整理ができなかったころは、問題を相手のせいにしたり(多くの場合、相手は変わってくれませんね)、嫌な気持ちを「忘れよう」「なんとか封じ込めよう」としたりすることしかできませんでした。それでもうまくいかないときは、酒で紛らわすとか(笑)。嫌な気持ちにずっと振り回されていたのです。
けれども「何が、私にそう思わせるのだろう?」という問いを繰り返し考え、「本当は○○したい!」というポジティブな気持ちに触れることができることを知ってから、ずいぶんココロの整理がつくようになってきました。
今回は「ココロの整理術」を紹介しました。日常の仕事の中で抱くさまざまな不安や悩み。その都度、誰かに相談できればいいですが、それがかなわないのが現実です。けれども、不安や悩みを抱き続けるのは嫌なものです。
どんな不安や悩みでも、その背景には「○○したい」「○○だったらいいな」という、ポジティブな気持ちが必ずあります。ネガティブな気持ちを封じ込めるのではなく、ポジティブな気持ちに気づく機会にすると、ココロが整理でき、フッと軽くすることができるでしょう。
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