仕事上の問題を解決するには、何が大切なのか:ボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/3 ページ)
「同僚との人間関係がうまくいかない」「売り上げが上がらない」「職場がギスギスしている」――働いていると、さまざまな問題が出てきます。こうした問題に対し、私たちはどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
「職場のコミュニケーション」の悲しい現実
しかし、実際には悲しい現実があります。
多くの職場で「コミュニケーションは大事だ」と言うものの、具体的な対処をする組織は少ないですよね。なかにはコミュニケーションが直接売り上げにどう影響するかで判断しようとする経営者や経営幹部もいます。
以前、ある社長からこう言われたことがあります。
「竹内さんはコミュニケーションの研修をされているということですが、その研修を受けるとどのぐらい売り上げ効果がありますか?」
研修には当然コストが掛かります。研修を開催するか否かの判断に費用対効果を考えられるのは当然のことです。また、コミュニケーションは学んだからといってすぐに効果が出るものではないことを、私たちは経験上知っています。
しかし、社員の成長はコストや売り上げだけで評価できるのでしょうか。売り上げの数値が上がることで社員の成長を感じることもあるのかもしれませんが、人の成長は売り上げで測ることはできません。にもかかわらず、“社員の成長を金銭面で評価しよう”という社長の言葉に悲しい気持ちになりました。
原因が変われば、結果が変わる
コミュニケーションは全ての営みの原点であり、日常です。日常であるからこそ「そんな当たり前のことにお金をかけられない」ということも分かります。しかし日常であるからこそ、職場のコミュニケーションがよくなってくると、次のような連鎖を生み出す可能性があります。
- 悩みを共有したり、相談できたりする→心の負荷を和らげることができる
- 職場が楽しければ働くのが楽しくなる→モチベーションを誘発する
- ざっくばらんに言い合える雰囲気が生まれる→新しいアイデアが生まれる
- 新しいアイデアや楽しそうに働く社員に顧客が共感する→売り上げが増加する
逆に職場のコミュニケーションを改善しないまま、社員にスキルやテクニックを身に付けさせようとしたり、人事的な新しい制度を導入したりしても、その効果は表面的なことで終わってしまうでしょう。
経営者や経営幹部には、職場のコミュニケーションにもっと関心を寄せてほしいと思います。もし「ウチの社員はコミュニケーション力がなくて……」と思われていたら、いきなり社員に研修を受けさせる前に、まずご自身で実践し、その効果を体感してみるといいかもしれません。
コミュニケーション力が高いリーダーは「あなたはコミュニケーション力がないから勉強しなさい」とは間違っても言わないものです。
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