仕事上の問題を解決するには、何が大切なのか:ボクの不安が「働く力」に変わるとき(3/3 ページ)
「同僚との人間関係がうまくいかない」「売り上げが上がらない」「職場がギスギスしている」――働いていると、さまざまな問題が出てきます。こうした問題に対し、私たちはどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
コミュニケーションは自分の周りから変えることができる
このような話をすると「社長や上司が職場環境を変えてくれないと、働きやすい職場にはならない」と思う人もいるかもしれません。誰もが「コミュニケーションは重要だ」と言うものの、それがあまりにも日常すぎるので社長や上司はその環境をなかなか変えてくれません。
私は会社でコミュニケーション研修に行く機会を作れなかったことに加え、毎日がストレスフルでその環境にいることが本当につらかったので、自分で勉強することにしました。
本を読んだり、セミナーに参加したのでお金はかかりましたが、自分で勉強したことは結果的によかったと思っています。なぜなら自分でお金を出したので「身に付けよう」「実践しよう」と思えたからです。職場が実践の場だったのでたくさんの経験も積めました。
コミュニケーション力を学ぶ前の私は、プレッシャーをかけることでしかチームをまとめる方法を知りませんでした。しかし勉強することで、ギスギスしていた職場が少しずつ明るくなり、同僚に笑顔が見られるようになりました。そのとき「自分でも変えることができるんだ」と思えたのが、今では大きな経験になっています。
またその時身に付けたコミュニケーション力は、仕事のパートナーといい関係をつくったり、自分が言いたいことを表現したりする上で今でも多いに役立っています。よくよく考えてみたら、コミュニケーション力はどんなシーンでも必要な一生モノのスキルなので、身に付けて本当に良かったなあと思っています。
もしあなたがギスギスした職場で嫌な思いをしていたら、本を読んだり、セミナーに行ったり、自ら勉強をしてみるのはいかがでしょうか。勉強することで周囲の人たちや自分の変化を感じることができたとき、コミュニケーション力の重要性が見えてくるでしょう。また「自分の力で周りを変えることができる」という体験は、ビジネスパーソンとしての自信が持てるようになるのではないでしょうか。
コミュニケーション能力が求められている
日本経団連が2012年7月に調査した「新卒採用(2012年4月入社対象)に関するアンケート調査結果」によれば、新卒採用の選考にあたって特に重視した点は「コミュニケーション能力」だそうです。それだけコミュニケーション能力が求められているということなのでしょう。
しかし会社に入ると、挨さつや接客方法などを学ぶ機会はあっても、働きやすい職場を作るためのコミュニケーション力を身に付ける機会はあまり多くありません。
仕事上の問題を解決するには、コミュニケーションが不可欠です。経営者層の人には、その重要性をより感じていただきたいと思います。現場でご活躍のみなさんにも、コミュニケーションは日常であるからこそ、自分の周りから変えていくことができ、その変化を自分自身で実感できるのが面白いところでもあります。あなたができることから始めてみてください。
前出の「その研修を受けるとどのぐらい売り上げ効果がありますか?」という社長には、次のように答えました。
「社員のコミュニケーション力を上げたいと思われているということは、これまで顧客や社員間のコミュニケーションでご苦労されてきたのでしょうね。研修がどれだけ売り上げに貢献するのか、私には分かりませんが、社員が仕事の中で感じる楽しさややりがいは、売り上げでは測れないのではないでしょうか。間違いなく言えるのは、社員が顧客の幸せを願い、楽しそうに働く会社にはファンが多いということです」
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