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デジタル時代に「ノートに書き留めること」3分LifeHacking(1/2 ページ)

PCやスマートフォンやタブレットが普及しているいま、メモを取る方法はいくらでもあります。ここでは筆者が気に入っているアイデアをとどめておくための方法を紹介します。

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ライフハッカー[日本版]

 「New York Observer」の元編集長で、現在は「Flavorpill」の編集責任者を務めるElizabeth Spiersが、手書きでメモをとる理由とそのメモの使い道に関して話をしてくれました。

 数日前に私は、少しの間ひどいパニックに見舞われました。どうしてもペンが見つからなかったからです。


 大事なペンを失った私は、著書『死ぬ瞬間』などで知られる精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスがモデル化した「悲嘆のプロセス」に陥りました。

否認 「恐らくペンなんて必要ないんだ。ペンなんかいらない!」

怒り 「あのいまいましいペンはどこ!?」

取引 「気の利くすてきなボーイさん、チップをはずむからペンをいただけないかしら?」

 そして、ついに最後のステージへと至りました。

受容 「ペンの代わりになるものを探すしかない」

 その時にどうしてもペンが必要だったのは、あるアイデアがひらめいていたからです。書きとめる前に、そのアイデアが頭からすーっと消えてしまうのが怖かったのです。私が思い付くアイデアはとても逃げ足が速く、ちょっと気をそらしたら最後、たちまち見失われてしまいます。だから、すぐにノートを取り出して書き留める習慣を作りあげていたのです。

 このプロセスはもう本能的な行動の一部なので、ペンかノートをなくした時は「アイデアが消えてしまうのではないか」という、ひどい不安に襲われるのです。今回はスマートフォンという奥の手を使い、件名欄にカテゴリー項目入りのメモを書き、自分宛てにメールを送ることで解決しました。これは、技術的には十分ですが、あまり好きなやり方ではありません。

ひらめき帳


 私が気に入っているアイデアをとどめておくための方法は、スティーヴン・ジョンソン氏が紹介した「ひらめき帳」にちょっと似ています。

 ジョンソン氏は、非常に幅広い題材について多くの著作がある多才なライターです。彼の著作の中でも、病気と都市計画について書いた『感染地図―歴史を変えた未知の病原体』は特にオススメです。私は「最後まで一気に読んじゃった」といえる本は少ないのですが、これはその数少ない中の1冊です。ジョンソン氏はこう指摘しています。

「ほとんどの優れたアイデアは、(物語の組み立て方であれ、議論の転換点であれ、より幅広いトピックについてであれ)最初は予感として思いつくものです。それは、大きなアイデアの小さな断片だったり、ヒントやほのめかしだったりします。こうしたアイデアの多くは、数カ月から数年はじっとしていて、それから何か有益なものと一体化するのです」

 こうした「アイデアの成長」を促進させるため、ジョンソン氏は自ら名付けた「ひらめき帳(spark file)」をつけています。それは、「すべての予感(記事や講演の草稿、ソフトウェアの機能、起業、これから書くつもりの章の構成、あるいは書籍自体のアイデアなど)を書き留めておく、1つのファイル」です。彼は、ひらめいたそれらを整理しようとはしません。わざとランダムなままにしているのです。そのメモを数カ月ごとに読み返すと、1つ1つ別々に見ていたら何だか分からないようないくつもの断片が結びついて、さまざまなテーマが浮かんでくるそうです。

 私も同じようなことをします。ノートにばらばらのメモを書き込み、それらをマスターファイルに入れ、しばらくしてから見返すのです。ノートはどこでもとりますが、実は私には、創造性がとても高まる場所と時間があります。地下鉄や飛行機、列車など、交通機関の利用中は特に創造力が高まるのです。また、大勢の人で込み合う空間でありつつ、1人にもなれる場所。例えば喫茶店や、1人で夕飯を食べるバー、陪審員席に座る時などは、いろいろな観察にもってこいです。午前中よりも夕方のほうがうまくいきますが、その主な理由は1日のはじまりよりも終わりのほうが注意深いからでしょう。

「創造的な作業」と「やるべきこと」を分ける

 私のひらめき帳が役に立っている理由は、ひらめき帳とタスクリストを区別したほうが良いと学んだからです。何かやるべきことについてメモをとる衝動に駆られた時は、本来のToDoリストや、計画中のプロジェクトリストなど、ほかのものに書きとめます。

 スコット・ベルスキ氏は著書『Making Ideas Happen』で、「アイデア」と「実行ステップ」を分けています。つまり発想についてのメモやスケッチなどを、やるべきことのメモと区別するのです。

 仕事にもよるかもしれませんが、私の場合は純粋に創造的な作業と「やるべきこと」を切り離して取り組む時に、最もクリエイティブで充実した状態になれます。やるべきことから手をつけた場合、何を達成したいかの考えが制限されてしまうからです。

 ストーリーのアイデアを思いついた時、時間をかけて深く追求することはしません。記事のトピックを、あれこれ調べてより深く追及することもしません。つまり、「やるべきこと」の実行手順を考えることは、新しいアイデアを手ごわいと思ったり難題だと思うことにつながりかねないので、それを省くわけです。ですから、「やるべきこと」に関しては別のファイルをつくっています。特定のプロジェクトに関連したそれぞれのタスクリストと、それらのプロジェクトの全体的な優先順位をつけるためのマスターリストです。

 私は「あとまわし帳(backburner file)」も使っています。これもベルスキ氏が発明したタスクリストで、興味深いけれども優先順位は低い「空想的なプロジェクト」のリストです。

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