「最近の若い人は……」と思ったら――世代間ギャップを埋める方法:ボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/5 ページ)
「最近の若い人は何を考えているのかよく分からない」と感じている人も多いのでは。一方、若い世代にとっては、上の世代の言動が理解できなこともしばしばあるはずだ。そんな世代間のギャップをどのように埋めればいいのか。
竹内義晴(たけうち ・よしはる)
1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。
自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。
米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)がある。
連載記事「人生はサーフィンのように」をeBook(電子書籍)にまとめた「やる気が出ない本当の理由」を発売。詳細はこちら。
先日、ある会社で中間管理職のAさんと打ち合わせをしたときのことです。
「竹内さんはコミュニケーションがご専門とのことですが、実は私、今、困っていることがあるんですよ」
職場の中にある会議席だったので、Aさんは周囲を一通り見渡すと、声のボリュームを落として、こう言いました。
「大きな声では言えないんですけどね。最近の若い人は弱いなあと思っているんですよ。竹内さんは今いくつですか? 42? 私の2つ下だから分かると思うんですけど、私たちが若いときは先輩からゴリゴリやられてきたじゃないですか。悔しい思いもたくさんしましたけど、チクショーと思って何とかやってきました。けれども、最近の若い人はちょっとキツく言うとすぐ落ち込んでしまって……。
昔は、私も先輩に『最近の若い奴は……』って言われてきましたけど、今では私もつい、そう言いたくなることがたくさんありましてね。それでも、若い人と一緒に仕事をしていかなければいけないから、どう接したらいいのか分からなくて……」
ここで言う「ゴリゴリ」とは、いわゆる叱咤激励や「〜ねばならない」「〜すべき」という言葉に代表されるような指導のことです。
私自身も、上司からゴリゴリ指導されてきました。そして自分が管理職になったとき、同じような接し方をしました。けれども周りの部下が付いてこなかったり、すぐに落ち込んでしまったりしてしまいました。
そこで何とかしたいと思うのですが、自身の経験として指導と言えば「ゴリゴリ」しか知らないので、どのようにしたらいいのかよく分からなかったのです。
そんな体験があったので「あ〜、分かります」と言いながら、Aさんの話をうかがっていました。
このような話になると「コミュニケーション力のない上司が悪い」「忍耐力のない部下の問題だ」といった話になりがちです。確かに、その一面もあるのかもしれません。しかし、コミュニケーション力や忍耐力の問題で片づけてしまう前に「なぜそうなってしまうのか」という時代背景を考えた上で、「どのようにしたら、職場のコミュニケーションがよくなるのか」について考えてみたいと思います。
関連記事
- 不安や悩みを相談できない――そんな人にオススメの方法
職場の人間関係に悩んだり、過大な目標に悲鳴を上げている人も多いのでは。「悩みや不安は人に相談したほうがいい」といった声をよく聞くが、そもそも相談するのが苦手な人はどうすればいいのか。そんな人に「ココロの整理の仕方」を紹介する。 - 上司が部下に言ってはいけない、10のセリフ
会社の中で「課長」が与える影響力は大きい。現場におけるキーパーソンであり、課長次第で、業績も部下の成長も大きく左右される。今の時代、課長が身につけておくべき能力は何だろうか。本連載では、課長が身につけておくべき「上司力」について考えていきたい。 - 「どうしても自信が持てない」「課題だらけですぐパニック」――情けない自分にさよならするには?
必要以上に考えすぎ、誰かに心配してほしい、過去に負った深い傷に反応してしまう――これまでうつのさまざまなパターンを見てきましたが、今回で最後です。自分に自信が持てなくて落ち込みが止まらない。仕事、家庭、自分――課題が一気に押し寄せるとパニックに陥ってしまう。どうしたらそんな自分を卒業できるでしょうか? - うつ病にならないようにする方法
ここ数年増加してきている、うつ病患者。「自分はうつ病になりやすそうな性格だ」と自覚していたちきりんさんは、予防策としていくつかの努力を続けてきたそうです。 - 仕事の生産性を上げるために、私が職場の机でやめたこと
職場の机の上には、実際には仕事と関係ないことも、最高の仕事を生み出す能力に影響を与えるものもすべてあります。自分の机をワークステーションとして考え直してみませんか。 - 職場の将来性、人間関係……5人に4人が仕事で悩みを抱えている
近年、頻繁に取り上げられるようになった職場でのメンタルヘルス問題。「職場の将来性」や「職場の人間関係」など、5人に4人が職場で悩みを抱えているようだ。特定非営利活動法人しごとのみらい調べ。 - やる気は「出す」ものではなく「出る」もの
自分はやる気があるのにほかのスタッフがやる気がなく、「やる気を出そうよ」といってみても、冷たい目で見られるだけ……。楽しく仕事ができる「働きやすい職場」には、仲間のやる気が大事です。「褒める」をテーマに、仲間のやる気を引き出す会話の方法を伝えます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.