慣れない相手でも会話を弾ませる、3つの質問:田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(2/3 ページ)
商談や打ち合わせの時、多くの人はいきなり本題に入らないようにしているのでは。ただ初対面やさほど親しくない関係の場合、話の糸口が見つからずに苦労することがある。そんな時にオススメする、3つの質問を紹介しよう。
相手が自分に質問してくれたらチャンス
以前、MR(製薬企業の営業担当者)の人からこんな例を聞いたことがある。
ある大きな病院を訪問した際、廊下のイスに座って待っているよう指示された。目の前の部屋にふと目をやると、ドアの上に「○○機械室」と書いてあることに気付き、少々驚いた。日本でまだ数台しか導入されていないと聞いていた大型医療機器の名前だったからだ。
しばらくすると訪問相手である医師が登場、会議室まで共に歩き始めた時、話題にしてみた。
「○○機械室とありましたが、導入なさったのですか?」
「あ、あ、気付いたのか。そうなんだよ、ウチで入れてみたんだ」
その医師の尽力で導入までこぎつけたものだったそうで、会議室での打ち合わせの後、MRの彼をその「○○機械室」に案内してくれることとなった。ひとしきり解説を受けた後、医師が「興味持ってくれたなら、○○機械のことで一緒にやってほしいことがあるんだけど」と持ちかけられ、結局、その後しばらくして、共同で研究を始めることになったという。
彼は「待っている間でもよく観察していたら以前との変化にも気付くことがあるから、それをすかさず会話に乗せるって大事ですよね」と言っていた。
天気や相手の企業の話などある程度「定番」なネタもあるが、さらに会話を弾ませようとした場合、困惑することもある。そんな時ももし相手が自分に質問してくれたらチャンス到来だ。
質問に手短に答えたら、すぐその質問を相手にし返すのである。
例えば「GWって何かイベントあったんですか?」などと尋ねられたとしよう。「前半は、家族で旅行し、後半は、ジム通いして、ストレス発散を兼ねた運動してました」などと答えたら、今度はコチラが相手に質問する番である。
「○○さんこそ、GWはどんな風にお過ごしでしたか?」。こう問い返せば、たいてい、相手は自分のGWについて詳細に話してくれるだろう。
日常会話で誰かが何かを質問する時、たいていは、質問する側がそのことに興味関心をもっているものだ。相手に尋ねたいと思う一方で、自分のことも話したいケースが多いように思う。だから、自分が答えるだけで終わりにせず、「あなたこそどうなんですか?」と質問を返すほうが互いに気持ちよく会話ができる。
関連記事
- 部下の“やる気”を削いでいるのは、誰か
上司があまりに「上司然」としていて、会社で動いていることを部下に全く開示しないケースがある。もちろん最大級の機密であれば仕方ないが、そうでもないような内容で、部下にも関係あることをちっとも話さないのはどうなのか。 - 優しくするだけでは若手を育てられない
後輩を育てるには、あえて失敗経験を見せたり、ドキッとする経験をさせたりすることも必要だ。問題が起きた時、ベテランだけで対処するのではなく、若手もその場に身を置かせるのも1つの育て方である。 - 上司が言う「ホウレンソウ」に、悩んでいませんか
ホウレンソウ――。「報告・連絡・相談」のことであるが、上司や先輩はよく「若手のホウレンソウがなっていない」と嘆いている。しかし“なっていない”のは、双方のコミュニケーションなのかもしれない。 - 上司が部下に言ってはいけない、10のセリフ
会社の中で「課長」が与える影響力は大きい。現場におけるキーパーソンであり、課長次第で、業績も部下の成長も大きく左右される。今の時代、課長が身につけておくべき能力は何だろうか。本連載では、課長が身につけておくべき「上司力」について考えていきたい。 - “昭和上司”にならないために、彼らから学ぶべき3つのこと
「社内でのコミュニケーションをどうすればいいのか」と悩んでいる人も少なくないだろう。今後、上司になっていく人に身につけてほしいのは「巻き込み対話力」である。 - なぜ新入社員は気が利かないのか?
15年前、2年前、そして最近の新入社員研修に関わっている人に話を聞くと、驚くほど似たような意見が返ってきます。それらは「今の新入社員が」とは、とても言えない。そんなことを気付かされました。では具体的にどう指導すればよいのでしょう? - 田中淳子のあっぱれ上司!:仕事の「意味」を考えさせる
与えられた仕事から何を学ぶか、何を感じ取るか。これを考えさせるのも上司の大事な役割です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.