慣れない相手でも会話を弾ませる、3つの質問:田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(3/3 ページ)
商談や打ち合わせの時、多くの人はいきなり本題に入らないようにしているのでは。ただ初対面やさほど親しくない関係の場合、話の糸口が見つからずに苦労することがある。そんな時にオススメする、3つの質問を紹介しよう。
相手に語ってもらうようにすることがポイント
仕事の会話でも同じことである。相手から「最近、お忙しいのでは?」と問われることがある。この時、自分の状況を説明するだけでは不十分だ。自分の“忙しい”話は手短に済ませ、相手にも同じ質問を返す。「○○さんこそお忙しいのでは?」と。忙しくない人などほとんどいないので「こういうことをやっていて、今はこれがピークで、大変なんですよ」と詳しく話してくれることが多い。
夏になれば「田中さん、夏休みはもうとったんですか?」と聞かれる。こういう場合はご自身の夏休みに関心があるはずだ。
なので「○○さんこそ、夏休みはどうなさるのですか?」と問い返す。
「スペインに行くことになっていまして、来週からなんです」
こういう場合、もっと突っ込んで聞いてみる。「スペイン、どちらを回るのですか?」「目的のものがあるんですか?」などと掘り下げるのだ。
そうすると「ワインを飲みまくろうと思って」「ガウディの建築が楽しみで」と具体的な答えが返ってくるだろう。
「先週、もうとっちゃったんですけど」という返事の場合は、「もう夏休みは終わったのですね。どちらかにお出かけで?」と尋ねる。
「ええ、スペイン各地をまわってきました」
こうくれば、スペインのどこをどう回ったかなど詳細に聞けばよい(もちろん、プライバシーに踏み込まない程度にだ)。自分のことを聞いてくれるというのは誰だって嬉しいので、楽しそうに語ってくれるに違いない。
この時気を付けなければならないのは、相手の話をとってしまうことだ。
「あ、スペインで、ガウディですか。いいですよね、私も20年前に行ったことがありますが、グエル公園とか、行きました? パエリア食べました?」と延々と自分側に話を持ってきてしまってはいけない。あくまでも相手に語ってもらうようにすることがポイントである。
慣れていない相手、馴染めていない相手との会話に苦慮している場合、お天気、相手の話題、そして、質問されたら同じ質問を返す。この3つを実践するだけでも少しは会話が続くものである。
著者プロフィール:田中淳子
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。
- 著書「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)、「はじめての後輩指導」(日本経団連出版)、「コミュニケーションのびっくり箱」(日経BPストア)など
- ブログ:「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」
- Facebook/Twitterともに、TanakaLaJunko
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