気持ちのいい会話を生み出す、アサーション・トレーニングとは?:世界で通用する人がいつもやっていること(2/3 ページ)
あなたは自分の意見を通したいとき、どういうふうに主張していますか? 世界でも通用する人というのは笑顔で物腰がやわらかく、相手を言い負かすこともなく、それでいて自分の主張はきちんと押し通す。ポイントは、角を立てずに相手を操縦することです。
笑顔をふりまきながらも、主張は押し通す
Kさんは、一見とても人の良さそうな、親しみの持てる雰囲気を持っています。なので「この人が、海千山千の強力なビジネスマンが威張って歩くようなアメリカやヨーロッパで、どうやって自社の技術を売り込んできたのだろう?」と考えると、何とも不思議な感じがしてしまいます。ただでさえ、日本人は世界中で「良いカモ」と思われがちだというのに……。
Kさんはなぜカモにされることなく、相手にとっても自分にとっても良い関係を築き、事業を大きく発展させることができたのでしょうか?
実は、Kさんはとても物腰が柔らかで、いつも笑顔を絶やさない一方で、主張をぜったいに曲げることがなかったのです。Kさんは、相手の話をよく聞いている人であるのはもちろんなのですが、ずっとお話ししていると、いつの間にかKさんのペースに巻き込まれていくのです。そうすると、話をしているうちにKさんの考え方や方針が、何となく正しい気分になってしまうわけです。
相手を尊重することで友好的な関係が長続きする
「議論を戦わせて相手のミスを突き、自分の考えを通す」という方法が有効だと考える人も多いかもしれません。特に、欧米で仕事をしていたら、なおさらです。
でもそれでは、相手を傷つけてしまう場合があります。傷つけられた相手はどう感じるでしょう? 「もう、こんな奴とは二度と仕事したくない」と思ったり、「こいつともう一度仕事することがあれば、徹底的に恥をかかせてやろう」なんて復讐心に燃えたりしてしまうんじゃないでしょうか? これは欧米に限らず、世界中どこでも同じこと。人間の本質によるのです。
相手を言い負かしたそのときだけは、優越感に浸れます。でも、相手と持続的に良い関係を築いていくことは難しくなってしまうのです。それは、ビジネスのあり方としては、あまり効率の良い方法ではないですよね。
Kさんのように、いかにも日本人っぽく周囲を気遣うといった「和」を重んじながらも、絶対に譲らない。あわよくば、相手を巻き込んでしまう。こんな方法であれば、相手のプライドを傷つけることはなく、自分のやりたいことも良い形で貫けるのです。
また、相手を尊重しているという姿勢は崩さないので、友好的な関係を長く保ち続けることができ、互いにメリットが大きいのです。実にしたたかで賢いやり方ではないでしょうか。
関連記事
- 日本地図、世界地図をかっこよく描いて、グローバル時代を生き抜く!
日本、そして世界。グローバル化するビジネスにおいて、世界レベルのロケーションで物を視る機会も増えていることでしょう。今回は、世界の形をしっかりと観察し、自分なりに描けるようにします。交通の要所をおさえれば、何も見なくても描けますよ。 - 年末年始に身につけたい、トップ1%の人が実践する思考ルール
成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るためには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身につけることが重要です。 - 説明とは相手に向かって話すことではない――話し下手な人のための説明力向上法
日常業務の中で必須となる「説明の場」。でも説明が不得意な人っていますよね? 今回は相手の理解、納得度を高めるテクニックを紹介します。 - 40代でできること、できないこと
10代や20代のころには「自分は何でもできる!」という幻想を抱いていたとしても、40代ともなるとそれがだんだん崩れてきます。完全に失望しているわけではありませんが、できることやできないこと、得意不得意など自分のことが自然と分かってきます。40代は、理想と現実の狭間にいる微妙な年代といえます。 - 想像することが苦手な人に、年間ビジョンの作り方
新年を迎えて「今年はこんなことにチャレンジしたい」という人も多いのでは。しかし実際には、なかなかうまくいかない。なぜうまくいかないのか。今回は「1年の計画の立て方」について紹介しよう。 - グローバル化と国際化ってどう違うの?
近年よく使われるようになったグローバル化(=globalization)という言葉。かつては国際化(=internationalization)という言葉の方がよく耳にしましたが、それが入れ替わった背景を考えると、今のビジネスの流れも見えてくるのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.