説得能力を高めるには“人まね”をしよう:一撃「超」説得法(3/3 ページ)
「超」説得法は、日常的にさまざまな機会に意外で多用している。ではどうすれば一撃能力を高められるだろうか? 一番効率的なのは、説得が上手な人を見つけて、その人のまねをすることだ。
会社の上司を師匠にしよう
どうすれば一撃能力を高められるだろうか?
一番効率的なのは、説得が上手な人を見つけて、その人のまねをすることだ。会社の上司にそうした人がいれば、ラッキーだ。毎日模範を示してくれるのだから、その人を師匠に見立ててコツを学ぶことにしよう。
特に会議は貴重な機会だ。参加者を説得し、結論をリードする人のやり方を観察し、まねよう。私は大蔵省に入り立てのころ、局議(局の会議)に参加させてもらっていた。発言できるわけではなく、資料を準備して会議参列者のやりとりを参観しているだけだったが、実に興味深かった。
理財局長の吉岡英一氏(後の国税庁長官)は、議論をじっと聞いている。最後の段階になって初めて口を開き、「コレ」と一言指示すると、その案で決まる。それに対して異議は出てこなかった。総務課長だった竹内道雄氏(後の大蔵事務次官)の理解能力や暗算能力には、いつも驚嘆させられた。この人は宇宙人ではないかと、何度か疑ったほどである。「単価をこうすれば、予算総額はこうなって、他の項目との間でバランスがとれなくなる」といった類の計算結果を即座に示す。こう言われると、誰も反論できなくなる。
どちらも見事な一撃説得だった。その後さまざまな会議に出席する機会があったが、あのときほど密度の高い会議は見たことがない。こういう会議を最初に見てしまったために、審議会や教授会は、時間の無駄としか思えなくなった。
人気教授の講義のやり方をまねしよう
落語などの伝統芸能の場合には、師匠の下に弟子入りして芸の真髄を学ぶ。現代社会では、学校の先生がその役割を果たしてくれる。大学であれば講義は自分で選べるから、学生の人気が高い教授の講義を受けてみよう。大学の講義は内容だけではない。やり方を見られるのが、大きな利点だ。講義を積極的に利用しよう。何事もそうだが、意識するだけで受信能力は高まる。それまで見逃していたことが見えるようになるのだ。
講義の内容だけを学ぶのであれば、本を読むのと変わりない。それより効率が悪い場合もある。本なら、分かりきった個所は飛ばすことができるし、分かりにくいところは、何度でも読める。しかし、講義ではそうしたことができないからだ。講義には、本では得られない「なにものか」があるのだ。普段の講義は欠席続きで、試験のときだけ出てくる学生がいるが、実にもったいないことだ。
既に社会人になってしまった人でも、YouTubeでさまざまな大学の講義や、政治家の演説を見られる。かなり長時間のものもある。自分の仕事に役立ちそうな講義を探して、積極的に活用しよう。
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