本を先生にすれば、先生は選び放題:世界で通用する人がいつもやっていること(1/2 ページ)
あなたは本を読むのが好きですか? 少しのお金で好きな時間に読めるのが本のよいところです。また、親友や恩師となる人がいなかったとしても、例えば過去の偉人にでさえも本の中では必ず出会えるのです。世界で通用する人は、本から何でも吸収しているのです。
集中連載「世界で通用する人がいつもやっていること」について
本連載は、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介している、中野信子氏著、書籍『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム刊)から一部抜粋しています。
世界で通用する人がいつもやっていることとは、具体的にはどういうことなのでしょうか? 実は、「空気は読まない」「敵を味方にしていく」「適度なストレスを与える」「いつでも仕事が楽しそう」など、ちょっと練習が必要なものもありますが誰もが簡単に身につけることができるものばかりなのです。
著者の中野氏は、東京大学大学院医学系研究科出身の脳科学者。世界上位2%のIQ所有者のみが入会を許される「MENSA」に所属し、フランス原子力庁勤務の経験もあるという。本書は、世界で活躍する脳科学者・中野信子氏が世界中で出会ってきた、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介した、今までにない自己啓発書です。本書を通じて、自分を磨くことをどんどん楽しめる人になってください。
著者プロフィール:
中野信子(なかの・のぶこ)
東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻修了、医学博士。2010年までフランス原子力庁に勤務。世界で上位2%のIQ所持者のみが入会できるMENSAの会員。
現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。
学習法だけにとどまらず、音楽と脳、セックスと脳、コスプレと脳、恋愛と脳、人工知能と脳、言語と脳、香水と脳など、従来にない脳の分析も得意とする
誰も味方がいないのであれば、本を味方にすればいい
わたしの知人のSさんのことを少しお話ししたいと思います。彼は過酷な少年時代を送ってきたにもかかわらず、性格をゆがめられることなく前向きで負けない心を保ち続け、結果として学問の世界で成功できました。それは、逆境を人のせいにしない強い意志があったから、という理由が大きなものでしょう。
しかし、近くに誰も味方がいなければ、たった1人で強い意志を保ち続けることはどんな人にとっても難しいものです。心が折れてしまいそうなとき、Sさんはどうやって負けない心を保つことができたのか? 彼に尋ねてみたことがありました。
彼は少年時代に、養父母から差別的な扱いを受けていました。あまり詳しくは触れませんが、Sさんは学校での彼の成績が抜群だったために、それに嫉妬した養父母の実子からある事件の濡れ衣を着せられてしまったことがありました。その結果、彼は風紀も良くない、あまり教育熱心でない学校に転校させられてしまいます。養父母の権威を恐れた学校側は、Sさんのために何1つ手を打つことができなかったのです。Sさんは、静かに学校を去っていきました……。
しかし、Sさんが学校を後にするとき、彼の才能を認めていた1人の教師がこんなことを言ったそうです。
「これから君はいい教師に恵まれる可能性は少ないだろう。1人で悩みを抱えながら過ごすことになるかもしれない。しかし、誰にも教えてもらうことができなくても、世界には多くの本がある。これからは本が君の先生だよ。どの科目を学ぶのかも、どの先生に教えてもらうのかも君の自由だ」
それを聞いて、Sさんは胸が熱くなったそうです。「誰も味方がいないのであれば、まず本を味方にして自分に力をつけていこう」と。恵まれた環境がないなら自分で環境を作らなければならない。そのために本から学べることを学びきろうと、彼は図書館に通い詰めました。
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