報告書作成は「客観的事実を正確に記す」「期日に遅れない」が原則:若手社会人のためのビジネス文書作成マニュアル(3/4 ページ)
報告書とは、上司から指示された事や任された案件を実施して、その結果を報告するための文書です。何に対するどのような報告かが分かるよう、簡潔な文章で事実を的確に伝えることがポイントです。今回は、上司に一目置かれる報告書の書き方を学びましょう。
「視覚化」と「矛盾しない」が重要
前のページで報告手順の3点セットを紹介しましたが、さらに次の2点を意識する必要があります。
- 視覚化する。
- 「問題」と「結論」の矛盾をなくす。
視覚化とは「読み手に正確に情報を伝達する」ことを目的に、文書を「見た目に読みやすくする」作業を行うことです。まず「同じ内容を繰り返していないか」を確認します。
次に、「モレはないか」をチェックします。根拠にモレがあると、その部分で矛盾を指摘されます。そして「文をできる限りスリム化」させます。できれば箇条書きに近いスタイルにまで簡潔にしましょう。見出しは文字の大きさや書体を変えたりしてメリハリを持たせ、段落ごとにホワイトスペースを設けます。視覚化イコール見やすさ、読みやすさです。ただし、より自由なフォームで書くリポート形式の場合は自分なりの分析や見解、主観的な意見を多く述べることになりますので簡素化はあまり意識せず、先に述べたように重文や複文を交えて膨らみを持たせることが必要です(研修参加リポート、マーケティングリポート、調査リポートなど)。
「問題」と「結論」の矛盾をなくすとは、「問題(テーマ・課題)の答えである結論が、ある根拠によって矛盾なく説明されている状態にする」ということです(図表4)。報告書では「結論」から先に書くことが前提となりますが、矛盾なく説明されている状態とは、結論とその後で述べる「根拠」が「So what(だからどうした?)とWhy(なぜ、そうなるのか?)の関係」で成り立ち、根拠が結論を導く正当な理由になっていることです。
例えば「PR施策は?」というテーマに対して「一切行わない」という結論を出したとします。読み手は「なぜ行わないのか?(Why)」と疑問に思うでしょう。その疑問を解消するため根拠を示す必要があるのです。根拠は1つとは限りません。より強固な結論を引き出すために、複数の根拠があることが望ましいでしょう。
「れる」「られる」の多用は禁止。重ね言葉は教養を疑われる
報告書では「あいまいさ」は極力避けなければなりません。例をいくつか挙げてみましょう。
- 「かなりの数」→できるだけ具体的な数値で示します。2000〜3000など。
- 「来月の初旬までには」→およその目安の日時を示します。「2月5日をめどに」。
- 「速やかに対処するようにします」→「すみやかに」の具体的なスピードを明確にし、「するようにします」はすっきりとしたいい回しに。「1週間以内に完了させます」。
また、前章でも示しましたが「れる」「られる」を多用している報告書をよく見かけます。そのような受動態的表現は「人ごと」と見られ、無責任な印象を与えてしまうこともありますので要注意です。
例文
当課の課題とされているのは、いかに効率よく人的配置を行うかであり、それが調整されれば、作業効率が急速に高まると考えられます。
太字の部分はすべて受け身的な表現で、主語が不在です。要は、語り手は当事者であるにもかかわらず客観性を装っているのであり、主語を出さないことで責任の所在をあいまいにしているような受け止め方ができてしまいます。
当課の課題はいかに効率よく人的配置を行うかであり、それが調整できれば作業効率が急速に高まります。
このように受動態はなるべく使わず、主語をはっきりさせてストレートに書く方が相手に強く伝わります。
意外に文章を書き慣れた人でもうっかり使ってしまうのが、重ね言葉です。これも報告書に頻出しますので注意してください。知識不足、教養の程度、注意散慢が印象づけられても文句がいえません。
- 「かねてからの懸案」
- 「すべてを一任」
- 「価格を値下げ」
- 「最後の追い込み」
どうでしょう? 知らず知らずのうちにこのような重ね言葉を書いていませんか。
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