30〜50代に熱烈に支持されたややシニア寄り!? “電子ノート”新モデルの逆襲:シャープ「電子ノート」開発秘話(1/3 ページ)
手書きにこだわったシャープの電子ノートに新モデル「WG-N20」が登場。期せずしてシニア層の掘り起こしに成功する結果となったこの製品は、どんな進化を遂げたのか。開発担当の西宮健司氏に聞いた。
シャープが7月25日に手書きデータを保存できる電子ノートの新モデル「WG-N20」を発表した。前モデルとの違い、改良ポイントについて、開発を担当したシャープ デジタル情報家電事業本部モバイルソリューション事業部システムソリューション開発部の西宮健司氏に話を聞いた。
正常進化した2代目
WG-N20は、先代モデルのシンプルな電子文具としての機能と使い勝手を踏襲しながら、ユーザーから得たさまざまな反響を参考に改良を施したという。主な改良点は以下の通りだ。
改良ポイント | 備考 |
---|---|
記憶容量が従来モデルの2倍に相当する2000ページ分に | 紙のノートよりメモや殴り書きなどが多いため、容量を増加した |
好みのノートフォームを追加登録可能に | PCから転送したフォームを本体内に保持して呼び出し可能にした |
画面ロック機能を追加 | 4桁の番号で電子ノート自体にロックを掛けられる |
JPG形式で画像書き出しが可能に | 他機器との接続を想定しJPG形式に対応した |
しおり機能を採用し、見たいページをすぐに開けるように | 最後に使ったページではなく、マークしたページを開ける |
初代モデルのWG-N10は、2012年12月18日の発表時には、賛否両論が巻き起こったと西宮氏は振り返る。
発表直後に多かったのは、否定的な反応だ。「モノクロである」「手書きのみ」「通信機能がない」「タブレットでも同じことができる」などといった否定的な反応だ。Twitterを中心に、そうしたニュアンスの書き込みがWeb上で散見された。
一方でこういうものを待っていたという声も多かった。販売が始まった2013年1月中旬以降は、好意的な反応が増えてきた。実際に買って試したと思われる人たちが、Twitterや掲示板サイト、家電量販店のショッピングサイトなどに、電子ノートの機能を評価する声を書き込んでいた。また購入者から送られてきたアンケートハガキの集計では、7割以上が文字の書き味とバッテリーの持ちを評価していたという。
店頭にもその反応が顕著に表れていた。
店頭に展示されたモデルは、「実際にさわった方々の試し書きが多数残っていた」(西宮氏)といい、端末を見た人の多くが手に取って試してみたことが分かったと西宮氏。電子ノートに対する好意的な反応を実感したという。
電子機器らしからぬ点にシニア層が注目
西宮氏は「発表当初の否定的な意見は、若年層のものだったのでは」と推測。タブレットなどに慣れている若年層の意見と考えれば納得できるからだ。
一方、アンケートハガキで電子ノートについて肯定的な意見を寄せる人達の年齢層はおしなべて高かった。40〜60代がほとんどを占め、しかも男性ばかりだったといい、期せずしてシニア層の掘り起こしに成功する結果となった。紙のノートを電子化したシンプルさ、単機能ゆえの取り扱いのしやすさなどが受け入れられたのだ。
関連記事
- シャープ、最大2000ページの手書きデータを保存できる電子ノート「WG-N20」
シャープは、6型モノクロ液晶を搭載し手書きデータを保存できる電子ノート「WG-N20」を発表した。 - “手書き版ポメラ!?” シャープの「電子ノート」次世代モデルを妄想してみる
シャープの電子ノートは、メモ機能に特化したシンプルなツールだ。各種文具を研究した形跡も見られる。本稿では、スペックをおさらいしつつ、シャープの過去と現在を見渡しながら、ありうべき次世代モデルについて“妄想”提言してみたい。 - “書き味重視”で、どこまで割り切って作るか――シャープ「電子ノート」開発秘話
手書きメモに特化した異色のデジタルツールとして登場したシャープの電子ノート「WG-N10」には、賛否両論がある。開発陣に製品のコンセプトやターゲット、今後の進化の方向性について聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.