Googleオフィスに学ぶ――「偶然の出会い」から生まれる、部門を超えたコラボレーションの作り方:3分LifeHacking(2/2 ページ)
同じ空間にいるのに友人になる人と、ならない人がいるのはなぜなのか? 「Westgate West」と呼ばれるアパートメントビルや米Googleオフィスの設計構造から、その謎に迫ります。
Googleの「食べ物から150フィート」ルール
Googleのニューヨークシティーキャンパスも同じコンセプトで設計されています。マンハッタンのチェルシー地区にある、1つの街区を占めるほどの巨大ビルのワンフロア(一部は別のフロア)に、たくさんの社員が働いています。
フロアを結ぶエレベーターは非常にノロマで、社員が無駄な待ち時間を過ごさなくてすむように、垂直なハシゴとシューターが設置されています。
他にもJobs氏の「自然発生的なコラボレーション」のアイデアを踏襲して、社員たちの間で「偶然の出会い」が起きるようにさまざまな工夫がこらされています。
また、オフィスのどこからでも150フィート以内(約45メートル)で食べ物にたどり着けるとガイドの人が説明してくれました。
レストラン、カフェテリア、キッチンがオフィスの至る所にあります。社員たちは軽食を取りに行くたびに、ほかのチームの社員と顔を合わせることになります。
Googleの社員みんなが新しいアイデアを次々と生み出しているとは限りませんが、社員たちが仕事を楽しんでいるのは間違いありません。それが結果的にモチベーションを高め、生産性の向上につながっているのです。
Festinger氏ら研究者が、友人関係の形成過程を説明するのに物理的な空間に着目したのは正しかったようです。さらに印象深いのは、彼らの研究が50年後のビジネス界に深く浸透し、現代の最もスマートな指導者たちに大きな影響を与えたことです。
異なるバックグラウンドを持つ人たちが交流すると、すばらしいアイデアが生まれます。こうした協同的な創造は、偶然の出会いと予期せぬ会話を抜きには成立しません。
部門を超えたコラボレーションができるオフィスを作るための基本原則
最後に、こういったオフィスに共通していえる「基本原則」を紹介します。
- 偶然の交流を促進する建築設計(大勢の人が通る階段など)
- 必要最低限「以上」の共有スペース:あちこちにあるカフェテリアや、閉鎖的なオフィスを離れて読書や仕事ができる場所
- 1人用の個室ではなく、複数人で共有する空間に重点を置く
- オープンな空間に多目的の「シンキング」エリアを設置する。1人でこもるではなく、人がいる場所で考え事ができる環境
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