第5回 給与に納得がいかない――自分の値段はどう決まる?:“独立プロフェッショナル”の仕事術(1/2 ページ)
給与はいわば、会社の中で決められた資源=人件費の陣取り合戦の結果。その評価軸は企業によって異なるため、“どうも納得がいかない”と思う人もいるでしょう。そんなときの対処法について考えてみましょう。
“独立プロフェッショナル”の仕事術
「情報収集」「企画」「交渉」など、独りで生き抜くためのプロフェッショナルの技は、組織で働く人にとっても役立つものがたくさんあります。
本連載では、独立したプロフェッショナルワーカーとして複数の企業と契約を結ぶインディペンデント・コントラクター(IC)が、自ら培った技を、会社組織で活用するためのノウハウにおきかえてご紹介します。
クライアントに対して自分の仕事の見積もりを提示する――。独立して10年経った今でも、自分の仕事の値付けに悩む時があります。コンサルティング契約の提案と見積もりを提示する日は、アポイントメントに間に合うギリギリの外出時間まで、どうしようか逡巡している時もあります。
自分自身に値段を付けるというのは、実は非常に勇気がいることです。高い値付けをすればするほど、それに見合う成果とパフォーマンスを約束することになるからです。
企業内での「自分の値段」は、給与(あるいは年俸)ということになりますが、あくまで一企業の中での相対的な尺度であって、それが自分に対する絶対的な価値というわけではありません。
持っているスキルやポテンシャル、経験値、キャラクター、人間性のどの部分が必要とされ、評価されるかによって、その人の企業内価値は決まりますが、ある企業では評価されないスキルやキャラクターも、別の企業では高く評価されることが十分にあり得ますし、その逆もまた真なり、なのです。
意を決して転職する場合、自分の価値を考慮してオファーしてくれる転職先ならまだ良いですが、多くの企業(特に大企業)は既存社員とのバランスを考えた給与レンジを提示することの方が多いでしょう。
本来、給与報酬というのは、自分が会社に提供した価値への対価であるはずです。“所与のもの”としてもらえるのが当然と考える人と、自分に与えられた使命を全うする、あるいは期待以上の価値を出して対価を得ようとする人では意識に大きな差があります。前者は「会社が自分に何をしてくれるのか」を考えるのに対して、後者は「自分は会社にどれだけの価値を提供できるのか」を考えるのですから、行動にも大きな差が出てくるのは当然です。
給与を得るというのは見方を変えれば、あらかじめ決められた資源=人件費の陣取り合戦です。在籍年数が長い人ほど会社への貢献度が高いと仮定して多く分配するのが年功序列制度で、能力が高い者=会社にとって価値が高い者 に多く配分するのが実力成果主義の世界です。
現在の「自分の値段」にどうしても納得がいかないのであれば、自ら配分を決められる立場になる、つまり経営的な立場にのし上がるか、実力成果主義の会社に転職(本当にそういう会社なのか見極める眼も必要です)するか、自分の値段は自分で決めると決断して独立するか、この3つしかありません。
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