名刺の電子管理による人脈活用が、地域コミュニティーの活性化を支える:Sansan事例(3/3 ページ)
人口の50%が高齢者という「限界集落」。その割合が日本一多い徳島県では、2年前から集落再生プロジェクトを実施している。担当者の1人、新居徹也氏は県のPRを担う東京本部に着任した際に人脈こそ1番の資産であると感じ、Sansanの名刺管理サービスの導入に踏み切った。
新たなイノベーションで地域課題を解決へ導く
サテライトオフィスは、新たなイノベーションを起こすフェーズに入っているという。
「特にIT分野では、多くの関係者が集まるほど良いイノベーションが生まれると思っています。しかし起業を促進しようにも、徳島にはそうしたスペシャリストが足りていません。そこで起業支援のプロに外郭支援を依頼。不況だからこそ多くの起業家を輩出すべく、具体的にはアイデアソンやハッカソンなどを実施しました。これらは、ノウハウを外から取り入れることで実現しています」(新居氏)
ハッカソンの実施に当たっては、金沢で行われた『コードフォー金沢』にヒントを得たという新居氏。ごみの出し方を教えてくれるアプリなどを見て、これまで無理だと思っていた行政課題も、ビッグデータを活用したIT利用によって解決できると感じたのだ。そうなれば、行政効率も一気に上がることになる。
取り組みも功を奏し、神山町では100組以上もの移住やサテライトオフィスへの参加待ちの状態にあるという。しかし新居氏によれば、地域が入居者を選んでいるとのことだ。
「サテライトオフィスは、誰でもウェルカムというわけではありません。地域コミュニティーは、入ってくる人によって簡単に壊れてしまうんですよね。その企業が来たら、どんな面白いことが起きるのか。あるいは人間として、地域になじむことができるのか。そうした点から、地域が“来てほしい”企業を選んでいるんです」(新居氏)
確かに集落再生を根底としているのに、地域コミュニティーが崩壊へ進んでしまっては意味がない。これは地域に住む人や自然など、徳島県という環境を大切にしたいという思いが感じられる。
そんな中、Sansanでは徳島県での現地採用を開始する。これには新居氏も驚いたようだが、本当に徳島県のコミュニティーになじみ、イノベーションを生み出せる企業とは、まさにこのことなのだろう。徳島県が企業を受け入れ、そして企業がその地域で成長したいと願うからこそ、少しずつ企業がその地域に根付いていくのかもしれない。
東京本部をロールモデルとして、県全体の改善へ
最後に新居氏に、今後の目標を伺った。
「課題は多いですが、最終的には東京本部だけでなく、県庁全体でSansanによる名刺管理を導入したいと思っています。人脈が大きな資産であることは、県庁でも同じですから。そのために東京本部における現在の取り組みが、ロールモデルとなるでしょう。また2回目のハッカソンも来年2月に開催を予定しているんですが、徳島県にはITについて最先端を学べる環境が整ってきていると思います。『働き方』のモデルの宝庫にもなりつつありますので、県内でITやクリエイション人材をもっと育成していけたら素晴らしいですね。」
そう話してくれた新居氏の目には、こちらまでワクワクしてくるような希望と活力がみなぎっていた。名刺管理という1つの施策が、徳島県における大きなイノベーションの支えとなっている。ITを軸とした地域コミュニティーの活性は、今後も注目していきたい。
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