“社会を変える”最強チームの作り方――【第1回】成功体験を共有:ベストチーム・オブ・ザ・イヤー(2/3 ページ)
“社会を変える”ほどのパワーを持つチームは、どうやったらできるのか――。熱い思いを胸に秘めた“U35”(35歳以下)の男女約40人が、実際にチームを創って活動する過程を追う。
アイデアを形にするために仲間から引き出してもらう――プロアクションカフェ
次のプログラム「プロアクションカフェ」では、自分のアイデアを仲間に語り助言を得ながら、実現に向けて形にしていく。まず全員が「自分が関わりたい社会を変えるチームのテーマ」をA4用紙に記載。野村さんが手を叩いた数に合わせてグループを作り、グループ内で自分の名前と一言を伝える。
こうしてできた4人1組のグループ内で1人がテーマオーナー(話し手/テーマ提起者)、ほかの全員が引き出し役となりテーマオーナーに質問する。テーマオーナーに与えられた時間は15分。15分間で「本当にやりたい大切なこと」を語り、「社会を変えるチーム」として再定義し、A4用紙の裏面に「社会を変えるチーム名」と「その思い」をつづる。何人かの掲げる思いを見てみよう。
「世界ダチョウ化計画」を実現したいと話すのは加藤貴之さん。ダチョウは豚や牛などと比べて低コストで育てることができ、美味しくヘルシーなのだとか。しかしまだ普及しているとは言い難く、生産者を増やすためには食べる人を増やすことが必要で、そのためにまずは人の意識を変えていくことが大切だと加藤さんは主張する。
これに対しメンバーからは「『日本ダチョウ協会』を作ってみては?」との提案が寄せられる。一方で「広報チーム」「食の危機を救う」などのキーワードをチーム名に入れ、目的を分かりやすく伝えるのはどうかといった、先ほどのゲストトークを反映する意見も。加藤さんは「世界ダチョウ計画実行委員会」とチーム名を記載していた。
「シェアする社会」を実現したいと話すのは女性の笠(りゅう)さん。互いに所有しているモノやアイデアを共有し合うことで助け合いにつながるだけでなく、心も豊かになれる持続可能な社会を目指す。「なぜシェアをしたいと思ったか」の問いに対し、リユウさんは3.11をきっかけにマインドがリセットされたことを挙げていた。
その後の再定義では「シェアのファンをどう作っていくか」という話へ移行する。シェアの便利さやうれしさを世に発信するチームを作り、シェアしたいと手をあげられる環境を作ろうといった意見や「シェアニスト」という名称の団体を作り、まずはインパクトを与えてみてはといった意見が飛び出した。
熱い思いを発表しチームメンバーを集う――リーダー候補募集
次のプログラム「リーダー候補募集」では、「社会を変えるチーム」としてユニークな「領域テーマ」(※)が9つ募集されました。
自身が掲げるテーマを元にメンバーを集めたいリーダー候補者は約18人。全員の前でテーマ名と思いをプレゼンする。彼らの掲げるテーマをいくつか見てみよう。
- 農業を通して生きる力を育む
- ユビキタスという指紋認証型の決済サービスを作る
- 食を通じてよい社会を作る
- 新学習指導要領をもとに画一化ではない教育を行う
- 世界ダチョウ化計画実行委員会
- すべての女性が元気な社会を創る
- ミュージカルで日常に感動を提供する
- モノを共有するシェアニスト集団をつくる
- 動物と幸せな生活をシェアする
- マルチワークプロジェクト
- 日本を時間生産性ナンバーワンチームにする
- スポーツを通じて未来を明るくする
- IT技術で経済活性化を目指す
ここから似たような領域テーマ同士でつながり、9つのチームにまとまることに。「テーマのジャンルが異なるチームでも一緒になってパワーアップできるチームがあれば合体しましょう」と野村さん。ただし、自分のテーマを安易に丸めるのではなく「加わったチームで一緒に活動できるか」を慎重に判断しながら、チーム探しをすることが大事だと話す。
このチーム探しはなかなか難しく、「教育」「働き方」に関するテーマを持った人達は、比較的スムーズにチーム結成できていましたが、「ミュージカル」など少数派寄りなテーマを掲げるチームはやや苦戦しているようだった。
一方でリーダー候補として登場した「食」「ダチョウ」は、食という共通テーマでまとまったところに、「メディアを作りたい」という機能テーマを出した人がつながり1つのチームになる事例も。食とダチョウはテーマが近接しているが、ここにメディアという異なるテーマが入ることで、大テーマである「食」を外側へ広げていく役割を果たしてくれそうだ。
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