同期の部下になってしまったら:ICHIROYAのブログ(2/2 ページ)
入社時には同じスタートラインに立っていたはずなのに、ボーナスの額や昇進など、徐々に差が出てくる。ある日、同期の部下に配属されたら、あなたはどんな気持ちになるだろうか?
組織が課す苦難が人を磨く
実際、その立場にいる同期に「どんな気持ち?」と聞いてみた。笑って話題を変える人もいれば、不機嫌になる人もいる。そんな中、Aくんはにこやかに答えてくれた。
「ははは〜。アイツも大変だからなあ。助けてやらなくっちゃ」
自分の上司になった同期のことを文字通り「偉いヤツだ」と思えるなら、上司として受け入れられるだろう。しかし、そう納得できることばかりでもない。そのとき、彼が「アイツ」と呼んだ同期のBくんは、昇格祝いの宴席で僕にこう言い放った男だった。
「仕事でも、人間性でも、お前よりは上だから」と。
Bくんの仕事ぶりがすごいことは僕も認める。しかしそれよりも、Bくんを直属の上司にいただいて、愚痴もこぼさず「助けてやらなくっちゃ」と笑えるAくんの人間力に、僕は驚嘆した。
自分の価値を出世の度合いだけで測るとしたら、ほとんどの人間は負け組になってしまう。しかし、組織が人それぞれに課す苦難は人を磨き、Aくんのように、渋く芯から深く輝く人間をつくりだす。その渋い光は、見えるものにしか見えないけれど、たしかに強い光を放っているのだった。
僕は最近、同期の顔をみると、ちょっとしたジェラシーを感じるようになった。会社勤めにはいろいろと大変なことがあるようで、みんなの顔にはそれが刻まれているけれど、「いい顔になってきたな」としみじみ思う。組織人として長年生きることは、会社でのポジションにかかわらず、人を磨くのだ。
著者プロフィール:和田一郎
アンティーク・リサイクル着物を国内外へ販売する「ICHIROYA」代表。昭和34年生まれ。京都大学水産学科卒業後、大手百貨店に入社。家庭用品、販売促進部など。19年勤めたのち、2001年に自主退職して起業。現在に至る。趣味はブログ執筆。
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