「ショールーミング」も商機に変える! ECと実店舗の融合戦略:お客さんの心をつかめ(2/3 ページ)
消費者の“店舗離れ”が起きるのは、店舗が魅力的なサービスを展開できていないからだ。ITのチカラを活用すれば、ネットとリアルはもっとシームレスになる。
O2Oと何が違うのか?
向畑: 「単純接触の法則」というものがあります。ネットだろうがリアルだろうが、とにかくお客さんとの接触時間を伸ばせば伸ばすほど、売り上げは増え、ロイヤリティは高まります。国内の大手スーパーマーケットチェーンの事例ですが、実店舗とネットショップを両方使っている人の購入合計金額のほうが、どちらか片方だけの人と比べて倍くらい高くなったという結果も出ています。
最近では「O2O」というキーワードも話題です。しかし、私の意見を言わせてもらえば、「オンラインからオフライン」か、「オフラインからオンライン」かのようにベクトルが一方向で終わっています。飲食業では、オンラインでクーポンを配って実店舗に来てもらうケースが多いのですが、そこから再びオンラインに戻す施策は少ないように思います。O2Oは、あくまでもオムニチャネル戦略に内包される1要素に過ぎません。
岡田: しかし、お話を聞いている限りですと、オムニチャネル戦略がとれるのは資金力のある大企業のように思えます。ネットショップも展開している中小規模の小売業者がその恩恵を得られるのでしょうか?
向畑: 私たちが4月から提供を開始する「MakeShop forオムニチャネル」では、ベースとなるECサイト構築ASP「MakeShop」と、実店舗側の基幹システムやPOSシステムのつなぎこみを行います。1から開発するのと比べて、会員情報やポイント情報の統合、CRM連携などが低コストで実現できます。
実店舗とネットショップの間でシステムが連携されれば、顧客情報や購買履歴が一元管理できます。それにより、お客さんがネットショップで貯めたポイントを実店舗で使ったり、あるいはその逆ができたり、実店舗での購入履歴を基にネットショップで類似商品をリコメンドしたりといった対応で、お客さんとより良好な関係が築けます。
また、実店舗とネットショップ間の相互送客も簡単にできます。例えば、来店したお客さんがその場での購入を見送ったとしても、「商品のバーコードをスマホで読み取ってください。ネットショップの同じ商品ページにつながりますので、お時間のあるときにゆっくりご検討ください」といった仕掛けも可能になります。
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