「少人数チーム」でビジネスの壁を突破する:時代が求める「少人数チーム」の作りかた(1/2 ページ)
仕事の質や働き方が大きく変わりつつある今、仕事を効率よくこなすための“チームのありかた”に変化が現れています。スタッフが生き生きと働く元気な会社にするための“ベストなチームの形”とはどのようなものなのか――。その秘けつを紹介しましょう。
1日の大半を会社で過ごすのだから、生き生きと仕事ができる職場で働きたい――。多くの会社員が、こんな願いを持っていることでしょう。
しかし、そんな環境がどれくらいの会社で実現しているでしょうか。もし100%実現していれば、世の中にブラック企業など存在せず、うつ病で休職に追い込まれる社員も激減するでしょう。
そんなことを考えていたあるとき、私は“いくつもの会社を「生き生きと働ける職場」に作り替えてきた”コンサルタントに出会いました。営業コンサルタントとして数十社もの営業チームに関わってきたその人が口癖のように言うのが「チーム」という言葉です。
「叱咤(しった)激励と称して個人に罵詈(ばり)雑言を浴びせるようなことをしても、成果は上がりません。必要なのは『チーム』として動けるようにすること。チームで動けば成果は上がります。そしてそんな集団を作ることがマネジャーの役割です」
そのコンサルタント、庄司充さんは、リクルートスタッフィングという会社で営業アウトソーシング事業の責任者をしていた経験を基に独立し、現在は売上低迷に悩む中小企業の営業チームのコンサルティングを手がけています。私は庄司さんとは長い付き合いで、これまでにチーム作りについていろいろと聞いてきたのですが、納得のいく話ばかりでした。
なるほど、確かに……。庄司さんが語るような「チーム」なら「生き生きと働ける」だろうなあ――。初めてそう感じてから6年が経ちますが、実は今年(2014年)に入って「チーム」というキーワードがあらためて気にかかるようになったのです。「チームを作ることがマネジャーの役割だとしたら、具体的にどんなことをすべきなのだろう?」
それを知りたいという動機から、IT業界を中心に10数人のチームリーダーを訪ね、「チーム作り」に関するインタビューを実施しました。その経緯を踏まえ、私は今ではこう確信しています。
「少人数チーム」がうまく回れば職場の悩みの多くが解決する。
「少人数チーム」の必要性はますます大きくなる。これは時代の要請だ。
そのために大事なのは個人の能力ではなくチームのマネジメントだ。
今、なぜ少人数チームが重視されるのか、うまくマネジメントするためにはどうしたらいいのか――。これを解説しようというのが、この連載です。
あなたの職場にも、数人程度で構成される「チーム」があることでしょう。そのメンバーか、あるいはリーダーをしているという読者も多いはずです。そんな読者に、“チーム作りのカギとなるポイント”に気づいてもらい、楽しく働ける職場にするためのヒントをつかんでほしいと願っています。
少人数チームが求められる時代
最初に、“なぜ今、少人数チームが求められるのか”を考えてみましょう。まずは私がインタビューをしたチームリーダーやコンサルタントの証言を聞いてください。
証言1:(ある邦銀の社員より)基幹業務のシステムは、会社全体の情報システム部が主導して1000 人規模の体制で作りますが、周辺のこまごまとしたサービスはそれぞれの部門が企画開発から運用まで数人でコントロールしています。
証言2:ある通信サービスの営業所長をしていましたが、そこにはアポ取りの天才、社内の専門情報収集のプロ、資料作りの鬼、クレーム処理の名人、飛び込み営業の達人がいました。普通の営業は全然できなかった彼らですが、それぞれの役割がうまくつながり始めたら、すごい成果が出たんです(詳しくは書籍「奇跡の営業所」森川滋之著・きこ書房刊、および誠 Biz.ID「奇跡の無名人たち」連載を参照)。
証言3:営業チームを作るために非常に重要なのは、リーダーが「どんなチームにしたいか」というイメージを明確な言葉にすることです。そしてそのイメージをメンバーと徹底的に共有します。リーダーがここで核になる思いを持っていないとチームはまとまりません(営業コンサルタント、庄司充氏)。
いずれも3〜4人から多くても10人を超えない少人数チームの話で、すべて私が直接、本人から聞きました。証言1は、大企業でも現場は少人数で動いていることが多いという話、証言2は得意技を持つメンバー同志がうまく連携すれば大きな成果が上がるという話、証言3はその「役割」の中でも核になるのが「こんなチームを作りたい」という、リーダが描くイメージであるという話です。
これらの証言からも、時代が「少人数チーム」が求めていることが分かります。その理由は、20〜30年前と今とでは価値を生み出せる「仕事の質」が大きく変わってきているからなのです。
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