相手の「良いところ」を探す:「気がきく人」の習慣(2/2 ページ)
人は、悪いところのほうが目につきやすいもの。しかし、視点を変えて相手の良いところを見つける習慣を付けると、チームが活性化します。人は、自分の存在が認められることで喜びを感じるのです。
人の役に立てたとき、喜びを感じる
人間は、人の役に立てたときに喜びを感じ、「生きていてよかった」と素直に思うものです。これは、自分の存在が認められた証でもあります。
私は、三越の特選売場にいたとき、接客したお客さまから、
「いい買い物ができた。あなたから買えてよかった」
と言われて幸せを感じました。グアム三越で出会ったスタッフの女性たちも同じような感動を経験したことで、お客さまへの応対も変わっていきました。人は、ロジックではなく、自らの体験を通して学んでいくのです。
今度は彼女たちの思いに報いるために、私が「始末」をする番でした。ティファニー本社と交渉し、仕入れ代金の支払いを一時的に待ってもらいました。やがて、現地の状況が戻り、お客さまも増え、グアム三越のティファニーブティックは危機を乗り越えました。
ところが、同時期に大量解雇を行った他のブランドショップは店が荒れ、観光客が戻ってきてからもかなりの苦戦を強いられたそうです。グアム三越では、それまでの積み重ねによって、喜びも苦しみもともに分かち合うチームになることができていました。そのことは三越時代に特に印象に残っているうれしい出来事です。
人は、理屈では変わりませんが、自らの心が動いた経験を通して、考え方はもちろん行動まで変わっていく。
気づかいの心は、文化や言葉が違う多様性の中でも、通用したのです。
まとめ
チームや組織では、互いに褒め合う仕組みを作る。悪口を言っていた同士でも、褒める仕組みがあれば「何があるかな?」と違う視点から相手のことを見直すことができる。他人の気づかいに気付き、それを自分も取り入れる習慣が身につけば、チームは活性化する。
関連記事
- 三越の理念に学ぶ“まごころの精神”――耳と目と心で「聴く」
接客の心得として、「お客さまの立場に立って考えること」とは、よく言われます。しかし、お客さまが本当に望んでいることを見抜くのは至難の業です。 - 気がきく人は「他人」を喜ばせ、きかない人は「○○」を喜ばせる
94歳で亡くなったやなせたかしさん。彼の「人生はよろこばせごっこ」という言葉に、「気がきく人」の真髄が詰まっていました。 - 上司と部下、互いの気づかいが“やる気”を高める
連休明けに限らず、いつもやる気がないように見えてしまう。でも、その原因はあなたにあるのかもしれませんよ? - なぜ新入社員は気が利かないのか?
15年前、2年前、そして最近の新入社員研修に関わっている人に話を聞くと、驚くほど似たような意見が返ってきます。それらは「今の新入社員が」とは、とても言えない。そんなことを気付かされました。では具体的にどう指導すればよいのでしょう? - ビジネスメール指導のその前に――顔が見えない相手に“気が利く”新入社員に育てるコツ
友達同士の気軽なメールに慣れた新入社員にとって、最も戸惑うのは、職位、立場、年齢が異なる人とやりとりするビジネスメール。新入社員研修でもそうしたメール応対の要望が増えています。ですが、その前にちょっとしたことを実践してみませんか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.